深田恭子は視聴率が獲れない名主役!?~データで見る『ルパンの娘』までの軌跡と今後の可能性~

(写真:アフロ)

主役ドラマは視聴率低迷

この夏、最も話題を集めているドラマの一つが、深田恭子主演の『ルパンの娘』。

放送前には、「深キョンがかわいいだけのドラマをまたやるの?」などの批判もあった。

ところが始まってみると、FODでの視聴回数が112万回と新記録を樹立。SNSでも「#ルパンの娘」が世界トレンドランキングで3位に入るなど、大きな話題となった。

ところがビデオリサーチが調べる世帯視聴率はパッとしない。

放送された5話の平均は7.2%。民放GP帯(夜7~11時)放送の14ドラマの中で、ワースト3と低迷している。

アラフォーとなった深田恭子は、約20年の間に17本の民放連続ドラマ(GP帯放送)に主演した。30代の女優の中では、断トツのトップだ。

今の民放ドラマは、吉高由里子・石原さとみ・綾瀬はるか・新垣結衣・北川景子・深田恭子・波瑠・杏などが順番に主役を演じている。それでも主演の数を比べると、綾瀬はるか・吉高由里子・北川景子が6本ずつ、石原さとみが13本で、深田恭子の17本は突出している。

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ただし深田主演ドラマの視聴率は、『ルパンの娘』同様に今一つだ。

今春の『初めて恋をした日に読む話』が8.5%、去年の『隣の家族は青く見える』6.3%、16年『ダメな私に恋してください』9.5%、14年『女はそれを許さない』6.1%。

今期を含め5作連続で一桁が続いた。

実は10~20代の頃の主演ドラマも、高くてせいぜい13%台。過去10年は11%を超えたことがない。

10年前までフジ月9は、年間平均15%超が当たり前だった。中には20%超のヒット作がたくさんあった。そんな状況にあり、15%を超えたことのない深田恭子が主役に抜擢され続けてきたのは、ちょっと不思議と言わざるを得ない。

4女優の比較

世帯視聴率が低いのに主役に使われ続ける深田恭子。

視聴者にはどう見られているのかを、女優4人の直近3ドラマで比べてみよう。深田恭子の他は、吉高由里子・石原さとみ・綾瀬はるかだ。

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まず世帯視聴率では、綾瀬が11.2%・吉高10.3%・石原が10%で、深田のみ7.4%と落ち込んでいる。

次にどんな人がどう見ているのかを、スイッチ・メディア・ラボの個人視聴率で見てみよう。

どうやら世帯視聴率の多寡に影響しているのは、3層(男女50歳以上)・2層(男女35~49歳)・主婦・有職者あたり。

特に3層は、日本の人口構成で5割を超えている。特にテレビ視聴者層となると、6割超を占める。つまり中高年に見られにくい深田ドラマは、視聴率を獲り難くなっている。

ただし深田ドラマが、他3人の女優ドラマと肩を並べる視聴者層がある。

U19(男女19歳以下)と、1層(男女20~34歳)だ。また属性別では、有職者や主婦では水をあけられているが、小中高生や大学生では互角だ。

どうやら深田恭子は、中高年ではなく、学生や若年層をターゲットとした野心的なドラマで主役に抜擢されることが多い。

視聴者層の経年変化

この傾向は、世帯視聴率がすべて一桁だった過去5作でも、きれいに出ている。

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年齢別に見ると、3層は5%前後で横ばい。ところがU19では、14年秋『女はそれを許さない』の0.7%から、今期『ルパンの娘』は2.2%と3倍に増えた。1層も1.5%から右肩上がりを続け、3.7%までになっている。さらに2層でも、2%から4.3%と倍増を保っている。

若年層での深田恭子の評価は、明らかに高くなっている。

年齢ではなく、属性別個人視聴率でみても傾向は似ている。

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小中高生は右肩上がりだが、大学生はそうとは言い切れない。未婚女性も『隣の家族~』は例外だが、基本的に右肩上がりだ。ところが経営者層・主婦・既婚女性は数字が伸びてはいない。

『はじこい』では恋も受験も就職にも失敗したアラサー女子が、タイプの違う3人の男性にアプローチされる物語だった。

今期の『ルパンの娘』も、代々続く泥棒一家に生まれた華と、名門警察一家に生まれ育った和馬(瀬戸康史)が運命的に出会い、乗り越えられない障害を前に惹かれ合う、まるで『ロミオとジュリエット』のような、現実にはあり得ないラブコメディーだ。

どうやら現実をよく知り、もはや夢物語にときめかなくなった中高年にはあまり響かないようだ。

ところが“これから”に夢を抱き、非現実的な展開でも共感できる若年層には、こうしたドラマを楽しめる人が多いようだ。

『ルパンの娘』で深田恭子はさらに飛躍!?

深田恭子は今作でさらに株を上げる可能性がある。

「かわいいだけ」「相変わらずのキョトン顔」「何を演じても深キョン」など、ネガティブに見る人もいる。

ところが去年12月に始まった新4K8K衛星放送で推進キャラクターに選ばれたように、圧倒的な美しさはアラフォーになっても全く衰えていない。年齢不詳な美肌は、「まるで純度の高いシリコンのよう」「有機的な生き物というよりも、アンドロイドに近い印象」という評価が出るくらいだ。

実際に放送が始まると、「深キョン最高」「たまらない」「美しすぎる」と絶賛の声が続々。瀬戸康史とのキスシーンでは、「完璧なキスシーン」「深キョンが神々しすぎる」などのつぶやきがSNSを飛び交った。

しかも役柄は、泥棒一家に生まれながら窃盗を続けることに反対で、「普通に生きたい」という“ピュアで可愛い娘”である。ところがドラマの後半では、タイトな赤いスーツに身を包み、セクシーかつ華麗なアクションを披露し、悪い奴に対して「ここで会ったが運の尽き、あんたが犯した罪、悔い改めな」とドスを利かす。

このギャップこそ、「変わらない可愛さ」「年齢不詳」「アンドロイドの印象」「浮世離れ感」など、数々の代名詞を持つ深田恭子以外には務まらない、ドンピシャのハマり役だ。

しかもドラマの展開は、現代の『ロミオとジュリエット』というあり得なさ。

途中で友人・円城寺(大貫勇輔)がミュージカル調に歌う場面で、カラオケの画面のように歌詞がテロップとして表示される遊びも登場する。しかも『ルパン三世』ほか、『ミッション:インポッシブル』などのパロディやオマージュも満載だ。

こうしたヘンテコなシチュエーションや役割を、現実的でない深田恭子が自然に演ずるところが面白い。

スポンサーのニーズ

テレビ局の多くは今、中高年ではなく若年層に見られる方向に舵を切っている。広告効果を求めるスポンサーのニーズがあるからだ。

しかも放送での広告収入だけでなく、録画再生やネットの見逃しサービス、さらにはSVODや海外番販など、収入源も多様化している。こうした二次利用などでの収入を上げるためには、SNSなどで話題が拡散することも必須だ。

こうなると現実にはあり得ない設定でも、視聴者の共感を呼べる展開が必要だ。その主役を務められる俳優が欠かせない。

つまり中高年にはあまり見られないが、若年層からの支持を20年にわたり得続け、今も人気を集め続ける深田恭子には、今も今後もテレビ局側にニーズがあると言えよう。

90年代後半に登場したロリータファッションや「カワイイ文化」。

そこで20年にわたり先端を走り続けた深田恭子だからこそ、テレビが新たな局面に入った今、新しい可能性を持ち始めたようだ。

今期の『ルパンの娘』主役をどう演じ切り、さらなる局面を次回作でどう切り拓くのか。

万人受けするかはさて置くとして、IT・デジタル時代の新たなタレントに進化する深田恭子に期待したい。