検証!各局のドラマ力2017~視聴率のテレ朝・満足度のTBS・日テレ&フジに課題!~

今のテレビ番組はリアルタイム視聴率で媒体価値が測られる。

2017年10月クールのGP帯(夜7~11時)放送の各局3ドラマの平均を比較すると、トップはテレビ朝日で、一話平均15%を超えている。2位はTBSの12%弱。3位の日本テレビは9%強。そして最下位のフジテレビは6%強に留まった。

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フジを起点にすると、日テレが1.5倍。TBSは約2倍。テレ朝は2.5倍を超えている。明暗が明確にわかれた格好だ。

ただしリアルタイム視聴率だけでドラマを語るのは、やや無理がある。ドラマの良し悪しは、喜怒哀楽などの感情がどれだけ動いたかも大きな要因で、見た人の数だけで論ずることは出来ない。

そこで本稿では、視聴率の各回の動向、満足度など質的評価の動向、両者の関係などを勘案して、各局のドラマ力に迫ってみたい。

視聴率と満足度の関係

4局12本のドラマを、視聴率と満足度の多寡でマッピングすると、まず視聴率のベスト3は『ドクターX』『陸王』『相棒』の順となる。ところが満足度では、『陸王』『ドクターX』『コウノドリ』と順位は入れ替わる。

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テレ朝の3本は、視聴率ではベスト5に入っているが、視聴率ほど満足度は高くない。『ドクターX』はシリーズ5作目、『相棒』16作目、『科捜研の女』17作目と、全てが長期のシリーズとなっており、新作でない点が響いている。データニュース社「テレビウォッチャ」モニターの声を拾うと、見るには見ているが満足度で最高点を入れない人が意外に多い。

「ワンパターンとは思いつつも、つい見てしまう」49歳男

「ちょっとマンネリな気がする」32歳女

「水戸黄門と同じような面白さだと思う」55歳男

「内容は代わり映えしないけど、まあ楽しく見てます」65歳女

対するTBSは、3本とも視聴率より満足度が高い。似たテイストのドラマが過去に制作されてはいるものの、テレ朝のように長期シリーズにはしていない。基本はクール毎に新作で勝負しており、しかも毎話の展開も結末も予想外なものが多い。その新鮮さが受け入れられているようだ。

「次の展開が読めないところが面白かった」49歳男

「毎回ハラハラする」55歳女

「最終回に向けてどうなるのか気になる内容」36歳男

「感動しきり。やっぱり人を動かすのは人の心だ」52歳女

いっぽう日テレは、『奥様は、取扱い注意』こそ視聴率4位と順調だったが、満足度は下位に沈んだ。『先に生まれただけの僕』と『今からあなたを脅迫します』は、視聴率も満足度も不調だった。

フジは3本とも視聴率が絶不調。『刑事ゆがみ』と『明日の約束』については、満足度こそ上位に入っているが、視聴率は最低グループとなってしまった。月9『民衆の敵』に至っては、満足度も視聴率も最低ラインあたり。課題を抱えていると言わざるを得ない。

日テレとフジの課題

再び図1を見て頂こう。

まず気づくのは、日テレドラマの初回が以前ほど数字をとっていない点だ。『奥様は、取り扱い注意』こそ11.4%と及第点だが、『先に生まれただけの僕』10.1%と『今からあなたを脅迫します』8.0%は頂けない。

筆者は2年前に、拙稿「TVドラマ再考(下) 日テレドラマの初回はなぜ強い?」で、2014~15年にかけて日テレドラマの初回が全枠平均で13.5%と他局を圧倒している点を指摘した。初回放送前一週間に主人公を演じた俳優の、バラエティ番組などでの露出の多さが大きく寄与しているという分析だった。

ところが去年春ドラマあたりから、変調が起こり始めていた。3枠初回の平均が10.8%で、テレ朝とTBSの後塵を拝してしまった。その後、16年夏も16年秋も10.8%と低迷した。、17年冬は12.6%と4クールぶりに健闘したが、17年春11.3%、17年夏10.3%、17年秋9.8%と再び勢いがなくなっている。ドラマ出演者のバラエティ番組などでの露出を増やす作戦は、どうやら視聴者の支持を失い始めているようだ。

いっぽうテレ朝の初回は、3ドラマ平均で16.4%と2位TBSに4%以上の差をつけた。『ドクターX』こそ、米倉涼子の初回直前露出は多かった。それでも日テレ『先に生まれただけの僕』の櫻井翔といい勝負だった。それなのに初回視聴率はダブルスコアとなった。もちろん、ドラマ自体が長期シリーズということが大きいのだろうが、過去の出演作品の再放送を直前で大量に放送している点も侮れない。

初回直前一週間では、米倉涼子の再放送が9ドラマ、『相棒』水谷豊と『科捜研の女』沢口靖子は8ドラマずつ再放送されていた。テレ朝は平日午後帯に3時間のドラマ再放送枠を持っており、ここを有効に活用して番宣に成功しているようだ。17年夏の3ドラマ初回平均は12.2%、17年春14.6%、17年冬は2枠が2クールだったために除外するが、16年秋も15.8%と初回で“失敗しない”局になってきている。

もう一度、図1を見て頂こう。今度はフジの課題である。

フジ3本の視聴率平均を各回トレースして行くと、課題が2つ見えてくる。1つは、初回から2話目にかけての下落が最も激しいこと。連続ドラマの初回は、どんな物語か期待を以ってチェックする人が多い。初回試し見の結果、2話以降の視聴を決めているのである。

フジの場合、1ドラマ平均で1.9%下落しており、全局で最大となった。17年夏は0.9%ダウンと比較的踏ん張ったが、17年春3.6%、17年冬1.3%、16年秋0.7%、16年夏1.4%、16年春0.9%、16年冬1.9%と大幅に下がることが多い。視聴者が逃げてしまう初回の作りには、明らかに課題があると言えよう。

課題の2つ目は、シリーズ後半の盛り上がりに欠ける点。他3局の3ドラマ平均で見ると、一様に後半4話は右肩上がりになっている。ところがフジの3本には、力強さに欠ける。

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10月クールを個別に見ても同様の現象がみられる。『陸王』『コウノドリ』『ドクターX』『奥様は、取り扱い注意』『先に生まれただけの僕』などは、いずれも最終回にかけて盛り上がっている。ところがフジの『民衆の敵』『明日の約束』『刑事ゆがみ』は、いずれも最終回にかけて上昇していない。

今年1年で見ても、同じような傾向がみられる。17年夏の『コード・ブルー3』・17年春『貴族探偵』・17年冬『嘘の戦争』を除く9ドラマは、残念ながらラストの盛り上がりがなかった。この辺りにも、制作上の課題があると言えよう。

以上が10月クールを中心とした各局のドラマ力2017の検証だ。ドラマは数学や経済学のように、客観的真実や利益的真実で明快に答えが出る世界ではない。個人的真実に訴えるタイプの表現なので、異論を持つ方も少なくないだろう。

ただし視聴率や満足度など、量的・質的評価のデータを駆使すると、明らかに4局のドラマには一定の傾向が浮かび上がる。2018年に各局が長所を伸ばし、課題を克服して、もっともっと面白いドラマを魅せてくれることを期待したい。