予想を裏切る怒涛の展開で満足度は急上昇!~湊かなえ3部作から予想する藤原竜也『リバース』のラスト~

TBS番組ホームページから

“リバース書き”という実験作のドラマ化『リバース』が大変なことになっている。

もともと編集者から「あのラストになるような物語を書きませんか」と提案され、湊かなえがどう展開したらその最後になるのかを、結末から順に冒頭に向かって書き進めたという。つまりラストで読者が最も驚く内容を練りに練って紡ぎ上げた作品だ。

藤原竜也と戸田恵梨香が好演するドラマ版も、一部オリジナルな要素が加わり、視聴者の予想を次々に裏切っている。既に終盤に入り布石の回収が始まっているが、なお新たな謎が次の謎を呼ぶ怒涛の展開となっている。その結果、データニュース社が調べる満足度は、後半以降でうなぎ登りに上がり続けている。しかも第7話の満足度は4.27と、『逃げ恥』の最高記録をも上回る稀有な状況となっている。

金曜ドラマ枠

『リバース』は、TBSの金曜ドラマ枠(金曜夜10時~)での放送。TBSの日曜劇場は1956年から放送されているが、同枠はそれに次ぐ歴史の長さを誇る。

ここ何年かの視聴率を振り返ると、日曜劇場には高視聴率のヒット作が多い。

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平均視聴率28.7%、最高42.2%でドラマの歴代2位という金字塔を打ち立てた『半沢直樹』が筆頭。他に21.3%の『JIN-仁-』、18.5%の『下町ロケット』、18.0%の『南極大陸』、17.2%の『99.9』などが並ぶ。主演は順に堺雅人、大沢たかお、阿部寛、木村拓哉、松本潤。いずれも通常のドラマより多額な予算と豪華なキャストが用意されており、日曜劇場はTBSのブランドを背負った特別枠となっている。

いっぽう近年の金曜ドラマには、15%を超える作品はない。また12年は全て一桁に終わったように、10%届かない作品も多い。それでも過去10作の中には、『ウロボロス』『アルジャーノンに花束を』『コウノドリ』『わたしを離さないで』『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』『砂の塔』『下剋上受験』など、数字は決して高くないが視聴者に深い印象を残した番組が多い。

そもそも同枠には、伝統的に時代を深く切り込み、話題となった作品が多い。70年代の『岸辺のアルバム』、80年代の『金曜日の妻たちへ』『ふぞろいの林檎たち』、90年代の『ずっとあなたが好きだった』『高校教師』などだ。このDNAを受け継ぎ、決して予算は潤沢ではなく大作でもないが、問題作・話題作が続々と出ている。

今回の『リバース』も、やはり金曜ドラマで放送された『夜行観覧車』『Nのために』と並んで、湊かなえ原作の3部作となっている。いずれも見ている人々の心を深く撃つ作品だ。

3部作の見られ方

視聴率で見ると、『夜行観覧車』が平均視聴率11.6%と一番高い。高級住宅街に引っ越してきた鈴木京香の一家と、そのお隣・石田ゆり子の家に起きた事件の真相を追う中で、家族の絆を問うた作品だった。

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2作目の『Nのために』は、9.0%と一桁に終わった。榮倉奈々・窪田正孝・賀来賢人・小出恵介演ずる4人が、“それぞれのNために”罪を犯し、その真相を追う純愛ミステリーだった。

ただし『Nのために』は、視聴率は低かったが、データニュース社「テレビウオッチャー」によれば、録画数は『夜行観覧車』に劣っていなかった。

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金曜夜は遅く帰宅する人が多い。そこで放送されるドラマは、録画再生視聴されることが多いが、『Nのために』はまさにそのパターンだったようだ。

この点は、満足度でより鮮明になる。実際に見た人々が内容をどう評価したかの指標だが、『夜行観覧車』と互角以上の展開となっていた。

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特にラスト3回に限定すると、『Nのために』の方が評価は高い。単なるミステリーではなく、4人がそれぞれイニシャルにNのある他者のために嘘をついていたというラストは、見る者の心を大いに動かしたようだ。特に最終回は、謎が解き明かされ満足度が0.37も下がってしまった『夜行観覧車』に対して、『Nのために』は4.14と高い数値になっていた。

これら2作に対して、『リバース』はさらに異なる展開となっている。

視聴率は7話までの平均が8.6%と、『Nのために』同様あまり高くない。特に第2話が6.3%と初回から急落したのが痛かった。“結末から順に冒頭に向かって書き進めた”ストーリーは、序盤が不十分となってしまった可能性がある。

録画数で見ると、他2作と比べ2~3話で数字が大きく落ちている。満足度では初回が3.52と、ドラマの平均3.6~3.7をも下回る不発に終わっている。

「雰囲気が暗い感じで、なんとなく楽しくなかった」男37歳(満足度2)

「期待していたが、途中で飽きてしまった」女68歳(満足度3) 

「なんだか説明が雑で分かりにくい」女27歳(満足度2)

いずれも2~3話で見るのを辞めた人の感想だが、2話の視聴率下落、2~3話の録画数低下はこうした声からも序盤に問題があったと推測できる。

後半はスゴい!

それでも『リバース』の満足度は、凄いことになっている。第2話で3.95と高い水準に戻し、その後上がり続けている。特に5話で4.0台の大台に乗り、深瀬(藤原竜也)・村井(三浦貴大)・谷原(市原隼人)・浅見(玉森裕太)の4人に告発文を送った張本人が、もともと死んだ広沢(小池徹平)の恋人で、最近深瀬の恋人になった美穂子(戸田恵梨香)であることが判明した第7話は、満足度4.27と『逃げ恥』のいずれの回も上回る驚異的な数字となった。

「まさに予想外の、まさかの展開」男49歳(満足度5)

「(戸田恵梨香が)まさか皆に会っていたとは、驚きでした」女39歳(満足度5)

「最後の最後にまさかの展開で続きが気になる」女27歳(満足度5)

結末から順に冒頭に向かって書き上げた”ストーリーは、後半で大いに力を発揮し始めている。満足度だけでなく、「次回見たい」という意向調査でも同ドラマは圧倒的な結果となっている。

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平均的なドラマでは、「(次回)絶対見る」は半分程度、「たぶん見る」を加えても6~7割が良いところだ。ところが『リバース』では、両者の合計は2話以降ずっと9割を超えている。

特に戸田恵梨香が告発文の張本人で、広沢の死に関わった4人に皆接近していたことが判明した第7話では、「絶対見る」が76%、「たぶん見る」を加えると96.5%に上がっていた。ほぼ全視聴者を虜にしてしまっている。

先日放送された第8話については、満足度や次回視聴意向などのデータはまだ出ていない。しかし8話の内容は、“さらなるどんでん返し”と“新たな謎が次の謎を呼ぶ”怒涛の展開となっており、またも好成績になっているだろう。

美穂子(戸田恵梨香)が4人に近づいたのは、結婚を意識した広沢が、すれ違ってしまった間に死んでしまったために、彼のことを聞こうとしてのことだった。そして4人が良い人で、これなら広沢の最後は幸せだったと考えた。

ところが広沢と付き合うようになり、4人が真実をかくして生きていることを知ってしまう。特に谷原の考え方が許せなくなった美穂子は、衝動的に谷原を駅のホームから突き落としてしまった。

広沢のためではなく、自分の気持ちを晴らすためにやったという美穂子。警察に自首するという。

別れ際に「全部ウソだったのか」と問う深瀬。

「(深瀬を)好きでなかった」と手を振りほどきタクシーに乗り込む美穂子。

その直後、電話で話をしている最中の元刑事・小笠原(武田鉄矢)が何者かに刺されてしまう。広沢の事故現場に落ちていたてんとう虫のキーホルダーの謎が、新たな事件につながって行く。

ラストへの期待

原作を読んでいないので、『リバース』のラストがどうなるのか筆者は知らない。

それでも過去2作のラストを思い起こすと、大いに期待したい気持ちになる。

『夜行観覧車』では、高橋弘之(田中哲司)を殺したのは妻・淳子(石田ゆり子)であることが判明した。子供たちはそれを庇って、事実と異なる証言をしていた。事件の張本人・高橋夫妻の最後のやりとりも、どこの家でもあり得る愛情が前提の行き違いだったことが明かされる。しかも家族の絆は、事件を経て強固になるという皮肉だが、未来に希望の持てるエンディングだった。

『Nのために』も前述の通り、各登場人物が他者を慮った言動が重なった結果としてのラストで、“純愛ミステリー”に相応しい読後感があった。

これらの流れにあり、かつ“ラストで読者が最も驚く内容”を練りに練って紡ぎ上げた渾身の“ヒューマン・ミステリー”だ。罪の周辺にある“やるせない情”が露見し、それらが見る者の心を動かすことだろう。原作にオリジナルなストーリーも付け加えられていると聞く。

大方の予想を覆す“圧巻のラスト”で、視聴者の満足度がどこまで反応するのか期待したい。