廃枠と報じられたフジ日9ドラマ枠!~死屍累々は“正確な事実認識”と“適切な対処”で防げたはず~

フジテレビ日曜9時『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』。14日放送の第4話は視聴率5.0%。しかも2話以降が落ち続け、同枠この1年でもかなりの問題作になりつつある。

過去の同枠ドラマで、4話まで右肩下がりが続いた作品に、12年春の『家族のうた』がある。この時は5~7話とやや持ち直したが、8話で放送中止となり、シリーズ平均3%台と記録的な惨敗に終わった。

『櫻子さん~』もシリーズ平均4~5%台の可能性が出て来た。さらに同ドラマ枠は、9月までで終了という報道が出ている。フジ編成方針の転機になってしまった可能性がある。

そもそもフジの日曜9時は、ごく一部に好調な作品もあったが、概ね苦戦続きだった。何が起こっていたのか、データで振り返ってみたい。

視聴率の軌跡

日曜9時といえば、TBSが日曜劇場を放送している。

フジは2010年秋からドラマチック・サンデーと銘打って、TBSに真っ向勝負を仕掛けた。ところが視聴率で上回ったのは、12年夏クールだけ。TBS『サマーレスキュー』の10.06%に対して、フジ『ビューテフルレイン』は10.14%とわずかに0.08%の差をつけた。

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ところが他は全て敗北に終わっている。11年春クール『マルモのおきて』は、阿部サダヲ・蘆田愛菜主演で15.8%と、同枠最高を記録した。ところがTBSは『JIN-仁-』で21.3%を叩き出し、フジはここでも敵わなかった。

結局ドラマチック・サンデーは、13年冬クールまでで廃枠となりバラエティ番組となった。ところがバラエティも不振にあえぎ、16年春クールから同時間帯は再びドラマとなった。

ところが今回は、以前以上にTBSに水をあけられている。このままでは、今回は一度も勝てないまま、再び廃枠になってしまう可能性がある。

満足度との関係

そもそもドラマチック・サンデーは、当初2クールで既にTBSに大差を付けられた。

3クール目の『マルモのおきて』で勢いをつけ始めたが、次の『花ざかりの君たちへ』で7.1%と再び低迷した。その後2クールかけて再びTBSに迫りながらも、12年春クール『家族のうた』で、あり得ないほどのどん底に落ちてしまう。軌道に乗れない不味いパターンが続いていたのである。

データニュース社「テレビウオッチャー」の満足度で見ると、悪循環はより鮮明になる。

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2012年4月クールのフジ『家族のうた』は、平均満足度が3.47しかなかった。ドラマの平均値3.6~3.7を大きく下回った。一方TBS『ATARU』は3.81と平均値を大幅に上回った。視聴率の差は、満足度の差以上に開いてしまった。

その後2クール、実は満足度はTBSよりフジが上を行った。ところが『家族のうた』でついた“面白くないドラマ枠”イメージが災いしたのか、視聴率ではフジが負け続けた。そして3クール目にTBS『とんび』が、フジ『dinner』に再び大差をつける。ここでドラマチック・サンデーは、廃枠となってしまっていた。

2016年4月クールでのフジの日曜9時枠ドラマ復活後も、同じようなパターンが繰り返される。

初っ端のフジ『OUR HOUSE』が満足度3.30と同枠史上最低を記録してしまった。TBS『99.9』とは0.63も差を付けられてしまった。視聴率もこれに倣い、4倍近い差となってしまった。

この後2クールは、実はフジの方がTBSより満足度が高い。それでも最初についた“面白くないドラマ枠”イメージのせいか、視聴率は以前と同様にTBSに敵わなかった。

しかも今年冬クールのTBS『A LIFE』対フジ『大貧乏』で、満足度で再び水を開けられ、視聴率は大差となってしまった。

さらに春クールTBS『小さな巨人』対フジ『櫻子さん~』が不味い。

まだ3話目までしかデータは揃っていないが、満足度が3.86対3.23。その差は0.63と、フジ『OUR HOUSE』対TBS『99.9』の時と同じ大差となっている。かくてし“勝負あり”の状況となってしまったようだ。

目標は何だったのか?

日曜夜帯のドラマといえば、日本テレビが2015年春クールに夜10時半スタートのドラマ枠を設けた。コンセプトは、「大人の男性も楽しめるエンターテインメント」。このためアクションサスペンス系とミステリー系が主で、主演者もほとんどが男性の俳優となっている。

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視聴率は華々しいとは言えないが、新設2クール目でTBSを上回ったことがある。やはり同じ時間にぶつけていないこと、さらに番組コンセプトが明確で、大崩れがない点が大きい。

振り返って、フジの日9枠を見直してみよう。2010年秋クール『パーフェクト・リポート』は、テレビ報道の現場の物語。明らかにターゲットは大人だ。

続く『スクール!!』と『マルモのおきて』は、子供を含むファミリー路線。ところが次の『花ざかりの君たちへ』はF1中心若者狙いのトレンディ路線。その後の『僕とスターの99日』も、どちらかと言えばF1など大人狙いだ。

さらに『早海さんと呼ばれる日』でホームドラマに戻って以降、『家族のうた』『ビューテフルレイン』は親子の物語が続いた。ところが『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』は業界モノで大人ターゲットだ。

要は一貫性がない。よく言えば、ヒットを狙って積極的に試行錯誤したと言えるが、視聴習慣の視点で言えば苦しい。日テレとの違いと言わざるを得ない。

16年春に3年ぶりに日曜9時ドラマを再開して以降も、『OUR HOUSE』はファミリー、『HOPE』『キャリア』はお仕事ドラマ、『大貧乏』で再び親子ものに戻って、『櫻子さん~』はミステリーだ。

やはり再び路線はバラバラで、視聴習慣をどう考えていたのか理解に苦しむ。満足度で見ると、『HOPE』は極端に高い数字となったが、『OUR HOUSE』『大貧乏』『櫻子さん~』は真逆で大惨敗。視聴者の生理を無視した、送り手の論理だけで並びが決められていた気がしてならない。

さらに言えば、16年春に3年ぶりに日曜9時ドラマを再開する際、他の選択肢はなかったのか不思議だ。

バラツキはあるものの、TBSの日曜劇場は頻繁に15%超えとなっていた。ここに同じドラマをぶつけるのは、正解だったのだろうか。

しかも日曜夜は、8時にNHK大河、9時がTBS日曜劇場、そして10時半から日テレが「大人の男性も楽しめるエンターテインメント」を始めていた。よほど明確なコンセプトと勝算がない限り、ドラマで出られなかったはずである。正確な事実認識に基づいて、適切な判断を下していなかったと見えてしまう。しかも出ると決めた以上は、盤石な戦略が必須だった。コンセプトやターゲットがバラバラで、結果的に視聴習慣が定着しにくい並びは、どう見ても頂けない。

フジのドラマは、日曜9時枠に限らず、一桁に終わるものがこのところ多い。目指すべき方向性が見えなくなっているのではないだろうか。データ分析などを駆使して現実を正しく認識し、適切な対処でぜひ復活してもらいたいものである。