感染症の広がりの中、リスク回避を模索しながら開講した「観光経営人材育成講座」

感染症の広がりで閑散とする観光地(写真:ロイター/アフロ)

 私が所属する城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科は、去る3月20日「観光経営人材育成講座」(東京都支援)を開催した。同講座は、東京都大学連携プロジェクト「観光経営人材育成事業」の支援金を活用して開催されたものである。

 

 本講座は、当初2月29日および3月1日に対面セミナー形式で開催予定であった。だが、新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、上記の開催日に変更すると共に、万一のリスクもあるため、対面とオンラインの両方で講座を開催できるように準備していくことにした。

 そして、日本国内では現時点では比較的抑制されているが、その後の感染症の世界的な更なる感染症の広がりを受けて、3月18日の東京都から「参加者10名を超える対面セミナーの開催を避けてほしい」との依頼を受け、急遽オンラインだけのセミナー開催に切り替えたのである。このような何度かの変更のために、参加者の方々には、様々な手間や期待に反する対応などのお手数をおかけしたのであるが、何とか意味のある公開講座を提供できたのではないかと思う。

 今回講座は、次の4つのテーマから構成された。

・『観光市場の動向とデータ分析』

服部 卓郎氏 筆者撮影
服部 卓郎氏 筆者撮影

  服部 卓郎 氏(一般社団法人 関東観光広域連携事業推進協議会事務局長)

・『観光マーケティング手法』

馮 力氏 筆者撮影
馮 力氏 筆者撮影

  馮 力 氏(中国国際航空公司日本支社長・東京支店長)

・『観光マネジメント手法』

森田 金清氏 筆者撮影
森田 金清氏 筆者撮影

  森田 金清 氏(月の栖 熱海聚楽ホテル代表取締役社長)

・『外国人材の活用手法』

茂木 正光氏 筆者撮影
茂木 正光氏 筆者撮影

  茂木 正光 氏(茂木正光行政書士司法書士事務所 所長)

 

 本記事では、個々の講義の内容は紹介しないが、今回の公開講座では、次のいくつかの点がポイントであったといえるだろう。

・本公開講座の全体としての裏のテーマは、「観光(特にインバウンド観光)におけるリスク」の問題であった(注1)。

・観光における「データの重要性」

・観光における「データ活用の可能性」

・感性も含めた外国人人材の活用の重要性。外国人人材の視点の重要性

・外国人人材を活かすための的確な対応の必要性(ビザ・資格の適性、法律と現実)

・観光では特に活用人材の重要性とリスクの問題

・リスクへの視点(雇用・キャッシュフローの問題、リスク後の「潮目」への理解、大きなリスクは必然性やリスク後を含めた先々を考えることの必要性)

 今回の公開講座の開催で得られたこれらの重要なポイントについては、本研究科は今後も研究を続け、本事業の今後に活用すると共に、本研究科の観光分野でのプログラムの充実や観光分野での人材育成に活かしていくと共に、日本の観光、その中でも特に将来性と可能性もあるインバウンド観光の発展に貢献していきたいと考えている。

 また、今回の公開講座の開催は、内容ばかりではなく(注2)、その開催形式においても、先述のように急遽対面からオンラインと大きく変更になった。

 日本の国内外では、今回の感染症の広がりを受けて、様々なイベントやセミナー・会議あるいは会合なども、オンラインで開催されている。また世界中の大学では(注3)、来るべき学期の授業(あるいはその一部)はすべてオンラインで実施するという方針を打ち出している。

 今回の件は一つの大きなキッカケではあるが、教育の全体としてはICTの更なる活用(注4)やオンラインなどが主流になっていくであろう。さらに、観光産業の人材育成においては、時間的制約や人的資源が不足しがちな観光に関わる組織などを考えれば、場所や時間的な制約を克服し自由度の高められるオンラインやオンデマンド教育はさらに重点的に開発していく必要があるだろう。

 

 その意味からも、今回の講座の開催では、私たちは非常に貴重なる経験を得られたと考えている。この経験から得られた知見やノウハウを今後とも活かしていきたいと考えている(注5)。

(注1)記事「『新型コロナ』で危機直面『インバウンド観光産業』の深刻度」(フォーサイト、2020年3月13日)など参照。

(注2)当初は、一般社団法人福島市観光コンベンション協会でインバウンドCMOのAndrew Coombs氏に、「地域の観光政策と観光地域づくり」のテーマで講演いただく予定であったが、感染症の広がりの中、それも不可能になった。

(注3)特に米国のハーバード大学やMITなどの有力な大学は、それまでもオンラインの活用を行い経験・実績があることを踏まえて、この方針を打ち出している。日本では、数は少ないが、いくつかの大学が同様の方針を打ち出した。

(注4)本記事では論じていないが、日本国内外において、オンラインの活用と連動する形で、ICTなどの様々な活用が展開されてきている。

(注5)この公開講座は、今後も継続していく予定であるので、それらの知見等をその際にも是非とも活用していきたいと考えている。