「政治人材の空白」をどう乗り切るか・・・細川元総理の都知事選出馬の可能性で考えたこと

先の記事「政治人材を消耗、浪費したこの10年」において、短期間に多くの政治人材が使われてしまい、安倍晋三現総理の次の人材がほとんどいないことを指摘した。

また、2012年末の衆議院選挙と昨年7月の参議院選挙の結果を受けて、衆参における「ねじれ国会」が解消し、また絶対的に大きな与党自民党と強力な連立政権が誕生している。

  これらのため、昨年末の特定秘密保護法のように、社会的に大きな議論になり、野党がどんなに反対等をしても、最終的には政権に押し切られて、同法は成立したことに象徴されるように、政権や与党がしたいことは何でもできる状態が出現してきている。

これは別のいい方をすれば、国のレベルにおける政界には、ある意味で「凪の状態」が出現してきているのである。この状態は、その前の約10年ぐらいの間において政界がさまざまな理由で混乱し、決められない状態から抜け出し、決めることが可能になった状態になったことも意味している。安倍総理もその点も意識して、政権運営をしているように見て取れる。

それは、確かにいい面もある。だが、他方で、現在のような状態が生まれたことによって、先述の特定秘密保護法の場合以外においても、国会などでの審議が慎重さを欠き、杜撰になってきているとも聞く。そして、世間的には「決められない政治」といわれていた時期の方が、国会での議論は実はより的確に行われていたそうだ。国会で議論されていたということは、国民に見える場で、議論がされていたことも意味しており、民主主義的には望ましいことでもあったのだ(注)。

このようなことを考えていくと、的確な議論や論戦が国会等で行われ、チェックやバランスが図られながら、その上で政治的決断が適切になされることが望ましいのである。ところが、現在の国政は、巨大与党と当座敵のいない安倍総理の存在という状況で、ストッパーやチェックがなく何でも行える「凪の状態」になっており、民主主義的にはやや問題のある状態が生まれているのだ。

このような状況においては、本来は野党などが適切にカウンターとしての機能を果たすべきであるが、現在の野党が与党に比してあまりに弱小で、逆に混乱し迷走しており、当座十分に機能したり、現在の政治に新しい大きな展開を果たしてくれそうにもないのだ。

こう考えてくると、安倍政権は、日本の経済の立て直しや外交問題の解決で頑張っていただきたいが、日本の政治や民主主義がやや問題ある状況にあるのだ。

ここでは、政界の現役の政治家に有力人材がいない現状では、それ以外の人材に頑張っていただいて、今の政治にスパイスと刺激を与えていただき、日本の政治をイノベートし、活性化していくしかないと思う。そして、今の政治人材の不在の状況や時期を乗り切っていくしかない。この10、20年の日本の政治における経験と問題点も活かして、厳しくても難しくても、日本の政治を前に進めていくことが重要だ。政治や政策は、これで終わりということはない(特に、民主主義の政治においては)。倦まず、絶ゆまず、諦めず、前に進め続けていくことが重要だ。

その意味で、来る東京都知事選に、細川護煕元総理が出馬するというのはいいことだと思う。しかも細川さんが、話題になっているように小泉純一郎元総理とタッグを組めば、非常に面白い局面が生まれる。

両元総理によって、現在の政治人材の空白(バキューム)を埋めてもらい、政治に活を入れてもらうのだ。

そして、東京は地方とはいえ、日本の巨大な首都であり、2020年のオリンピックを控えており、政権や国の政治も決して無視できない存在。国の政治のチェッカーとして、さらにストッパーとしての役割も十分に果たせる。

都知事選からは目が離せそうにない。

(注)日本は、官僚機構が強力で、議院内閣制であるために、実際上の政策論議などが、国会でなく、主に与党内で行われているのだ。そのために、実際の論戦や議論が、国民の目に見えないところで行われている現状があるのだ。