『実家の断捨離』(8)~実家のリフォームと地方への再就職~第二の人生をごきげんに

 前回に引き続き、断捨離の結果「実家に住む」ことを選択した方を紹介します。

 ケース1・2 『実家の断捨離』(7)~「実家に住む」という選択~

◆ケース3:思いがけず自分の故郷へ

 神奈川県在住の58歳の女性は、昨年11月秋田県の実家で一人暮らしだった母親を亡くし、実家を相続。荷物の整理のため実家に通いはじめます。

 兄弟はおらず一人での実家の断捨離はモノの量も多く、思い出深いモノの処分は精神的にもとても重労働でしたが、ご主人のサポートもあり「自分の今後の人生を考え直すいいきっかけにもなった」といいます。忙しく仕事に子育てに追われていたそれまでの生活を省みて「これからはもう少しのんびりと丁寧に暮らしていきたい」。そんな気持ちになったそうです。

 そんなとき一人娘の結婚が決まります。娘夫婦が新居を探すのに手間取り、ご主人が「おれたちがお義母さんのいた実家に引っ越せば、娘夫婦がここに住めるね」とまさかの提案。当時ご主人は定年間近。けれどまだまだ元気で再就職を考えており、妻の実家の断捨離に立ち会う中でこの先の人生を妻の故郷で過ごすのもいいと考えたのだそうです。

 女性は、他県で生まれ育ったご主人にとって負担が大きいのではと心配でした。しかし本人が「ダメならまた戻ればいいじゃないか」と。

 その後、懸案だったご主人の再就職がすんなり決まったことで実家への転居を決意。

 荷物をほぼ処分し終え、現在水回りと外壁などをリフォーム中。「工事をお願いした工務店さんから県や市から補助が出るかもと教えていただき、問い合わせて書類をそろえて申請しました。引っ越しは物入りなので少しでもいただけるならとても助かります」。

 年内には引っ越しを済ませ、結婚式は来春の予定。

 「思いがけない転居ですが第二の人生と思って楽しもうと思っています」

◆リフォームとは家屋の断捨離

 「実家への住み替え」は、新築したて、改築直後などの例を除けば、たいていの場合引っ越し先の家屋の築年数がそれなりに経過していると思われます。前回、今回で紹介した3組も、築33年、38年、42年と、修繕・改築など途中手を入れてはいますが基本の建物は築年数の古い一軒家。この先、熟年世代が住み続けるためにはいつかは手を入れなければいけない場合がほとんどでしょう。

 実家で親と同居を始めるという場合は、手すりを取り付けたり段差をなくすリフォームが必要になってきます。年月とともに住人の状況が変わっていったとき、快適に暮らすために必要に応じて家をリフォームするのは、まさに「家本体の断捨離」と言えるでしょう。

◆自治体のリフォーム支援等の活用

 多くの自治体では「耐震、防災の対応」「バリアフリー」「同居対応」「省エネルギー化」などさまざまな観点から家屋のリフォームの際に補助や融資の支援を行っています。

 市税や健康保険等の滞納が無いこと、該当自治体にある施工業者を選ぶことなど条件があえば申請できます。(※1)

 安全面からは、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づく国の基本方針により「耐震改修促進計画」が進められ、住宅、建築物の耐震化や耐震診断にも補助が出る場合がありますので、特に昭和56年以前に建てられた実家への住み替えが具体的ならば自治体に確認しましょう。(※2)

◆都市部から地方の実家へ 就職口は当然の課題

 また、紹介した3組中、2組は都市部から地方への転居でした。

 認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター発表(2018年2月28日)の相談来訪者へのアンケート結果からもわかるように相談件数は上昇中。ここ3年で倍増しています。

 実家を含め、地方への転居を検討している人は増加しているようです。

 その中で、移住先選択の条件として「就労の場があること」をあげる人が多く、さらに熟年世代の現実としては、慣れた土地を離れ新しい環境へ適応できるか不安を覚える人は多いでしょう。

◆転居先の職場を求めて

 前回紹介した長野の実家へ引っ越した女性は看護師で、実家近くの病院への勤務が決まりました。

 今回紹介した方のご主人は知人の紹介で再就職先が決まりましたが、県の再就職支援に問い合わせたり首都圏でのUターンイベントなどに参加しました。地方の生活状況なども知ることができ、転居の際の参考になったそうです。そういう自治体の取り組みに参加したり、利用してみるのも良い方法だと思います。

 実際にUターンを経験した人への調査では、株式会社電通が2018年2月に発表した「Uターン移住を経験した20~60代男女対象の『全国Uターン移住実態調査』」(日本経済新聞)から「Uターン移住が生活満足度をアップさせる」という報告があります。

◆多くの熟年世代が活躍し、毎日「ごきげん」に

 もちろん断捨離は、いつでも自ら必要なモノを選択していくプロセスです。ですから地方であれ都心であれ、親と同居であれ別居であれ、その時々で自分にとってベストな状況、生き方を選ぶことが大切と考えます。

 これから先の日本の人口構造を見ても、多くの熟年世代が活躍し、高齢者とともに生き生きと暮らすことが我が国にとって重要なことは論をまちません。

 毎日を充実したものにし、「ごきげん」な日々を過ごすことこそが、断捨離のめざす道。

 地方の実家への転居もそのための選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

※1

地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(平成30年度版)

※2

日本建築防災協会(国土交通大臣指定耐震改修支援センター)耐震支援ポータルサイト