イラン代表監督が語ったチーム強化の必要性

昨年末、イランサッカー界から日本のある選手に熱視線が注がれていることが明らかになった。今回、その話題について、イランの首都テヘランに住むサッカー専門記者に話を聞いた。

現在Jリーグ1部(J1)のFC東京でプレイする長谷川アーリアジャスールは、年代別日本代表にも選ばれ続け、フル代表にも選出された有望選手だ。その25歳をめぐって、日本とイランの間で綱引きが行われるかもしれない。

きっかけは、イラン代表監督カルロス・ケイロスの発言だった。チーム強化の一環として長谷川のイラン代表入りを望むとの声が、日本メディアでも紹介されたのだ。

一番大事なのは本人の気持ちだが、実際にイランではどのようにこの件がとらえられているのか。イランの首都テヘランに住み、サッカー専門サイト『GOAL』の現地版編集長を務めるペジマン・ラフバル氏に話を聞いた。

まずは発端について説明を求めると、代表監督が実際に発言したという確認が取れた。ラフバル氏は、「カルロス・ケイロスは記者会見でアーリアについて言及し、両親ともイラン人ではない選手の中から招集したい存在であると話した」と証言した。

ここから、一気にイラン国内での長谷川への関心が高まったようだ。

「これを受けてメディアがアーリアについての話を始め、『90分』という人気テレビ番組でも(ミラン所属のブラジル代表MF)カカーのような選手だと紹介された。これにより、アーリアはイランでも多くの人が知る存在となった」

「クリエイターとなるMFが必要」

国内で関心が高まっていることは確認できた。では、カルロス・ケイロス監督は本当に長谷川を必要としているのだろうか。

「答えはイエスだ。イランは彼のように、我々の背番号10となることができる選手を必要としている。クリエイターとなるミッドフィルダーが必要なんだ。ムジタバ・ジャバリとマスード・ショジャエイが今はその役割を担っているが、ジャバリはもう31歳で、ショジャエイも30歳になる」

今回カルロス・ケイロス監督が発言したように、イラン国外でサッカーを学んだ有能な選手たちが、すでにイラン代表としてプレイしている。「「ドイツで育ったアシュカン・デジャガとダニエル・ダバリ、オランダ育ちのレザ・グーチャンネジャド、アメリカ国籍も持つスティーヴン・ベイタシュールが、イラン代表に招集されている」とラフバル氏。

彼らに続く代表入りが実現したとしたら、「ファンや国民は彼を気に入ることだろう」とラフバル氏は語る。イランの英字新聞『テヘランタイムス』も先月23日に、「現状ではまだ早い段階だ。まずは彼がイラン代表チームに加入する資格があるかをはっきりさせなければならない」との代表チームのアシスタントコーチ、オミド・ナマジ氏のコメントを報じている。イラン側からの関心は継続しているようだ。

カルロス・ケイロス監督がチーム強化を考えるのは、今年6月のワールドカップ(W杯)でイラン代表を成功へと導くためだ。その大会を、ラフバル氏はどのように展望しているのだろうか。

「アルゼンチンには勝てないと思う。だが、ナイジェリアとボスニア・ヘルツェゴビナ相手にはチャンスがあるとみている。その2カ国にとって、我々は簡単な相手ではない。2試合は接戦になるだろう。カルロス・ケイロスは経験豊富な監督であり、守備的な戦いを心得ているからだ」

繰り返すが本人の意思が最重要であるものの、W杯に向けてイラン国内での待望論はさらに高まりを見せていくかもしれない。