Yahoo!ニュース

横浜FMケヴィン・マスカットの持続可能な采配から日本サッカー界が学ぶべきこと

杉山茂樹スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 J1リーグは全34試合中16試合を消化した段階でおよそ20日間の中断に入った。6月2日から6月14日まで4試合、日本代表戦が行われるためだが、このタイミングで、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレと入れ替わり首位に躍り出たのが横浜F・マリノスだ。満を持すようにじわりと一歩、前進したという感じだ。

 鈴木優磨と上田綺世の2トップとディエゴ・ピトゥカ抜きには語れない鹿島。得点への期待感がレアンドロ・ダミアンに偏りつつある川崎に比べると、横浜FMは顔ぶれが多彩だ。

 エース不在。7ゴールを挙げているアンデルソン・ロペスがチーム一の得点源であるものの、もし彼を怪我で欠いても決定的なダメージにはならない。ヒーローになりそうな選手の絶対数がどこよりも多いという点に他チームとの差を見ることができる。

 ケヴィン・マスカット監督は、ACLの6試合を含むこれまでの22試合、同じスタメンを2試合続けたことがない。前の試合の内容がどんなによくても、必ずいじってくる。選手の出場時間をコントロールしながらローテーションで戦っている。もしそうではなく、たとえば鹿島のように、ほぼ同じ顔ぶれで臨んでいれば、勝ち点はもう少し伸びていただろうと筆者は見る。

 横浜FMは4月10日、その鹿島とのアウェー戦で3-0の勝利を収めた。後半37分に先制点を奪うと、そこから加速し、さらに2点を追加した。後半、交代カードを切るほどに戦力を高めていった横浜FMに対し、戦力を落とすことになった鹿島。この一戦は両者の体質が鮮明に描かれた試合でもあった。

この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。

たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバー 2022年5月

税込550(記事5本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

杉山茂樹の最近の記事