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久保建英に傾けたくなる現実的な視線

杉山茂樹スポーツライター
(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

 レンタル元であるレアル・マドリー戦。久保建英は先発出場を飾ったものの、前半の終わりに故障したようで、ハーフタイムでピッチを後にすることになった。しかし、この怪我がなかったとしても、後半早々に交代の憂き目に遭っていたのではないか。前半45分間のプレーを評価するならば、10点満点で6点に届かない低調な出来映えだった。レアル・マドリー復帰に向け、存在をアピールするまたとない好機だったが、それはまた一歩、遠のいたという印象だ。

 日本のサッカー界で、最も期待を寄せたくなる期待の若手ながら、客観的に見て、久保の伸び幅はここにきて鈍っている。

 日本代表100試合出場は堅い。目指すべきはチャンピオンズリーグ(CL)出場100回だと、筆者は1、2年前に述べているが、将来、世界的なスター選手の域に達するのではないかとの淡い期待は、この間、萎みつつある。夢を語る時は終わった。現実的な目を向けるべき時が訪れたと言うべきか。

 そもそも久保建英とはいったい何なのか。サッカー的に言うならば、どのポジションで、どんなプレーをしている時が一番、輝いて見える瞬間か。何の武器を最大の拠り所に、世界に打って出て行こうとしているのか。そこに不透明さを抱えている。

 レアル・マドリー戦でプレーしたのは4-2-3-1の3の右だった。かつてテレビのインタビューで、「一番やりたいポジションは?」との問いに久保は、「トップ下」と答えていた。次に右、左の順だったと記憶するが、右ウイング、左ウイング、トップ下、FWの3ポジションのどこで起用されても、それなりのプレーをこなす点こそが、久保の特徴のひとつになる。多機能的と言えば、魅力的な要素に聞こえるが、悪く言えば、完全にはまる場所が見えていないとなる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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