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日本のサッカー界がいま、森保采配以上に憂慮すべき問題

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 オマーンにホームで0-1。W杯アジア最終予選の初戦で、いきなり敗戦を喫した日本。その第2戦対中国戦はファン注目の一戦だった。ところが、その視聴環境は劣悪だった。定額制動画配信サービス=DAZNに加入するしか観戦する手段がないという異常事態に陥ったのだ。サッカー競技の普及発展を考えれば、森保ジャパンの現状以上に憂慮すべき問題だと叫びたくなる。

 アジアサッカー連盟など、主催者が放映権を動画配信サービスに向けて販売すれば、放映権料は高騰する。それでは採算が合わないと放送局側が放映権の獲得を断念すれば、これまでのようなテレビ観戦は不可能になる。DAZNと2017年から2028年までの12年間を、2239億円で契約したとされるJリーグ中継がいい例だ。NHKのBS1でも週に1試合程度、中継されているが、Jリーグを注視しようとすれば、DAZNへの加入は不可欠になる。

 しかし、その加入者数は100万程度と伸びていない。サッカーファン、Jリーグファンの中でも、よほど好きな人でない限り、加入を控えている現状が浮き彫りになる。サッカーファンの総数がどれほどいるか定かではないが、1000万人では利かないはずなので、その大半は排除された状態にある。

 テレビをつけたらサッカーをやっていて、少し見ていたら、試合観戦にそのままのめり込んでしまった。それをきっかけにサッカーファンになったという人は少なくないはずだ。サッカーが世界で断トツの一番人気を誇る理由は明快である。競技性が魅力的だからである。凡戦も少なくないとはいえ、好試合に遭遇したときの感激はひとしおだ。初見でハマる人は少なくない。

 だが、DAZN観戦にそうした偶然性は低い。最初から相当に好きでないと、それなりの加入料を払って入会しようとする意思は湧かない。人を虜にさせるような好試合には、以前から高い関心を抱いていた人でない限り、辿り着くことはできない。

 新規のファンを掴みにくいこと。競技の普及発展に貢献しにくいことが、有料動画配信サービスの最大の問題点だ。一方、Jリーグ及びJFA=日本サッカー協会の最大の使命は、サッカー競技の普及発展にある。サッカー人口はもちろん、ファンの数を増やす努力が求められている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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