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スペインがクロアチア戦で魅せた、時間稼ぎのパス回しに感激

杉山茂樹スポーツライター
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 スペイン5-3クロアチア。GKウナイ・シモン(アトレティック・ビルバオ)のトラップミスで、先制点をオウンゴールで献上したスペインは、そこから3点奪う。勝利は確実かと思われたが終盤、クロアチアに同点とされ延長戦に持ち込まれた。それから2ゴールを決め、なんとか勝利を収めたが、先が思いやられる不安定さを露呈させた。

 オランダ、ポルトガル、ドイツ、フランスがベスト8に残れなかったユーロ2020。それを考えれば、スペインは勝てただけマシと満足するべきか。このスペインと、オーストリアを延長で辛くも下したイタリア、それに勝ち進めば、準決勝以降を再度「ウェンブリー」で戦うことになるホームの利に恵まれたイングランドの3チームを、優勝候補と見ているが、それはともかく——

 スペイン対クロアチアの試合に話を戻せば、大荒れの試合ではあったものの、目に優しい試合でもあった。特段、身体能力に頼らない、技術的に優れたチーム同士の対戦を見ていると、ホッとする自分がいたことも確かだった。

 圧巻だったのは延長戦で、ミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)のゴールが決まり、5-3とした後に、スペインが魅せたパス回しだ。早い話が、時間稼ぎの手段になるが、その高級さ、上等さに見惚れてしまった。オーレ、オーレというスタンドのサポーターの間の手とともに行われるこの時間稼ぎのパス回し。見ていて楽しいのは当事者だけで、それ以外の観戦者には迷惑な行為になる。この場合も「もっとちゃんと攻めて下さい」と、スペインに促したくなったが、気がつけば驚き、感激していた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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