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日本代表のサイドバックとウイングの定型のない関係

杉山茂樹スポーツライター
伊東純也(写真:岸本勉/PICSPORT)

 サイドバック(SB)とウイング。4-2-3-1あるいは4-3-3を敷く現在の日本代表には一応、サイドアタッカーが両サイド各2人存在するが、この2人の関係にチームとしての定型はない。選手任せになっている。

 2人の関係と言っても、SBは一定だ。酒井宏樹、室屋成、山根視来(右)、長友佑都、小川諒也、佐々木翔(左)のいずれかが出場しても、差は僅か。ポジショニングに大きな違いはない。

 関係を左右するのはウイング(4-2-3-1なら3の左右)だ。内に閉じて構えるか、開いて構えるか。この差は大きい。

 伊東純也、南野拓実、原口元気、浅野拓磨、坂元達裕、古橋亨梧、川辺駿。先のミャンマー戦(千葉)、U-24日本代表戦(札幌)、そしてタジキスタン戦(吹田)では、そこで上記の7選手が起用された。この中で開いて構えたのは伊東、坂元、原口。閉じて構えたのは南野、古橋、川辺だった。浅野は中庸と言ったところか。

 攻撃を組み立てるとき、ボールが渡りやすいのがSBだ。最終ラインで構えるCBが、次に出す相手は主に守備的MFかSBかになる。日本代表の場合は、両CBが間隔をあまり空けずに構える。その間に、守備的MFが意図的に降りて来る機会が少ないので、割合的にはSBがボールを受けるケースが勝る。

 SBは相手のウイングからプレッシャーを浴びても、真ん中の選手と違い、その方向が180度に限られているので、技量がよほど低くない限り、ボールを失う心配はない。SBが攻撃の起点になりやすい理由だが、問題はその次だ。ハーフウェイを越え、相手ゴールラインまで3分の1の地点に迫ると、SBは自らドリブルで前進を図ることが難しくなる。それは大きなリスクを伴う行為になる。選択は自ずとパスになるが、ここで問題になるのが、その方向だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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