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1試合平均4.91人。5人の交代枠を最も有効に活用した監督は(その1)

杉山茂樹スポーツライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 再開された7月4日以降、変則で過密な厳しい日程をこなすことになった今季のJリーグ。選手のコンディションを考慮し、欧州と同じように、前後半各1回、給水タイムを設け、従来3人だった選手交代枠も、交代機会3度までの5人制に拡大して行われた。

「間」のあるスポーツとされる野球に対し、サッカーは流れるスポーツ。いちいち試合が止まらないところが特性であり魅力と言われてきた。VARの採用に抵抗感を示す人が当初、多くいた理由だ。それではサッカーの魅力が失われてしまうと、多くの人が口にしたものだ。

 今季は開幕週のみで中断となったVARだが、来季からの採用を好ましく思っていない人は、いまどれほどいるだろうか。ごく僅かだと思う。給水タイム及び選手交代5人制も同様。実際、それで試合が止まっても、サッカーの魅力が失われたという感じではなかった。十分我慢できる範囲内だった。選手交代5人制に至っては3人制より面白く感じられたほどだ。

 スタメンの編成を失敗してもやり直しが利く。試合の途中で立て直しが利く。流れを変えやすくなっている。サッカーは監督で決まるーーとは、筆者が常々口にしている台詞だが、交代5人制は、その傾向を後押しする役割を果たしていた。

 今季のJ1リーグで、選手交代5人枠を意識しながら戦っていたのは川崎フロンターレの鬼木達監督だった。2位ガンバ大阪に勝ち点差18。得失点差+57という断トツの結果を残して優勝した川崎について語る時、これは外せない事象になる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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