Yahoo!ニュース

バイエルン対バルサが語る。バランスの取れた3FWを編成するチームは、無類の強さを発揮する

杉山茂樹スポーツライター
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 同じ3トップのサッカーでも、今季のチャンピオンズリーグ(CL)決勝を戦ったバイエルンとパリ・サンジェルマン(PSG)とでは違う。攻撃の幅に大きな差があるーーと、前回のこの欄で述べた。それに補足させてもらえば、バイエルンFWの両サイド(左=キングズレイ・コマン、右=セルジュ・ニャブリ)はウイングと言えたが、PSGFWの両サイド(左=キリアン・ムバッペ、右=ディ・マリア)は、言うならば、2シャドー的だった。

 ウイングなのか、シャドーなのか。それともサイドハーフなのか。その点は、4-3-3、4-2-3-1、4-4-2等々、布陣表記だけでは鮮明になりにくい。サッカーには、センターバック、サイドバック、守備的MF、センターフォワード(CF)等、役柄をイメージしやすいポジションが大半を占めるが、そうではなく、よく目を凝らさなければ浮き彫りにならないポジションもある。

 4-2-3-1の3の列に特にそれが目立つ。3の両サイドはウイング的なのか、サイドハーフ的なのか。3の真ん中もキャラクターが分かれる。FW的か、MF的か。4-4-2と4-3-3の中間的な布陣というその性格と、4-2-3-1誕生の背景を踏まえれば、それも当然という気がする。その「3」はそれぞれのチームの特徴、監督の目指すサッカーの特徴が現れやすい場所だと言える。

 アレンジを効かせやすい布陣という言い方もできるが、それを言うなら、4-4-2にも4-3-3にも同じことが言える。4-3-3では冒頭で述べたPSGがいい例であるし、4-4-2では、そのサイドハーフがウイング然とした4-2-4と言いたくなるモノもある。

 しかし、そうは言ってもウイングを置くサッカーの比率は、4-4-2<4-2-3-1<4-3-3の順で高まる。

 欧州を見渡すといま4-3-3のシェアは25%程度ある。メジャーな布陣として通っているが、かつて(90年代から2000年代前半まで)は5%以下だった。オランダとバルセロナ。イタリアでは、ズデネク・ゼーマン率いるクラブチームぐらいに限られていた。

この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

杉山茂樹の最近の記事