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2001年のバロンドール。オーウェンに投じた176人は、なぜラウールではなかったのか?

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 サッカーは選手個人の成績を示す記録の類が少ないスポーツ。選手の評価は各人の主観に委ねられる。それまでベンチで燻っていた選手が、監督交代を機にスタメン入りすることはよくある話。監督交代が他の競技に比べて早いタイミングで行われるのも、選手の移籍が頻繁に行われることも、そうした競技の特性に由来している。

 こちらがよかったと高く評価した選手について、周囲から「えー? よくなかったじゃん」と異を唱えられることはよくある話。自分の意見と他人の意見とが、サッカーほど割れやすい競技も珍しい。自分と異なる意見に耳を傾ける余裕というか、度量や寛容性がサッカーと向き合う上で必要になる。

 一方で、その分だけ、見る目が問われることになる。答えは直ぐ出るわけではない。1年後の場合もあれば5年後の場合もある。10年後の場合もある。後に正解であったことを知らされても「それ見たことか」と、他者に胸を張ることはできない。その件についてこだわってきた人以外は、まず忘れてしまっているからだ。間違いには気づきにくいものである。

 サッカー選手を表彰する最も権威の高い賞はバロンドールだ。年間最優秀選手賞。対象選手はかつて欧州人に限られていたが、いまでは全世界にエリアが広がっている。と言っても、欧州でプレーする選手以外から選ばれた例は過去にないが、投票権を持つ人もかつては欧州内の記者に限られた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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