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ザック式と森保式。クラモフスキー監督が披露した5-4-1を見て想起した2種類の3バック

杉山茂樹スポーツライター
アルベルト・ザッケローニ元日本代表監督(右)(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 先日、清水エスパルス対ジュビロ磐田の練習試合(無観客試合)の模様がDAZNで生中継された。

 行われた試合は「45分マッチ」が4本で、中継されたのは最初の2本。1試合分に相当した。スコアは3-2。先行する磐田を終盤、清水が逆転するという展開だった。

 清水にとって今季一番の話題は、新監督に横浜F・マリノスでコーチを務めていたピーター・クラモフスキーを迎えたことだ。アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、J1優勝に貢献した横浜FMの前コーチ。信奉するサッカーもポステコグルー同様、攻撃的サッカーだ――と言われれば、高い期待感を寄せたくなる。

 実際、FC東京と戦った今季の開幕戦でも、結果は1-3の敗戦だったが、サッカーそのものは勝者より魅力的に見えたほどだ。

 両ウイングが大きく開く4-2-3-1。開幕戦は、横浜FMが昨季の後半、採用した布陣と同じだった。

 ところが、この磐田戦は違った。両ウイングは相変わらず大きく開いて構えたが、最終ラインは3人で、5人になる場面も目立った。つまり、マイボール時は3-4-3で、相手ボール時は5-4-1だった。

 日本ではあまり見かけないスタイルである。相手ボール時に5-4-1になるサッカーは普通に見かけるが、その大抵は、マイボールに転じると3-4-2-1になる。

 その代表的な存在が森保式3バックだ。前線の3人はマイボール時には、大きく開かず、2シャドーと1トップ=「2-1」の関係を築く。閉じ気味で構えるが、相手ボールに転じると、その2シャドーが開いて5-4-1に変化する。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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