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誤審問題より憂いたくなる浦和レッズの寂しすぎるサッカー

杉山茂樹スポーツライター
横浜Fマリノスのアンジェ・ポステコグルー監督(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 いま話題の誤審問題。去る土曜日、横浜国際日産スタジアムで行われた横浜Fマリノス対浦和レッズ戦で起きた横浜の2点目にまつわる問題だが、こう言ってはなんだが、これはありがちな誤審だ。他の原稿でも触れたが、かつてならばさほど大きな問題になっていなかったと思われる。

 VARという新しい判定システムの登場で、選手はもちろんメディアやファンまで、いまやすっかり判定にうるさくなった。検証したがり屋が増えている。「これはVARでしょ」的なノリで審判に迫ろうとする。だが、審判が頼るのは肉眼のみ。確認する武器がない。見逃しや錯覚はつきものだ。

 スタジアムには、メディア関係者を含めて、スマホやタブレットを持ち込んでいる人も多くいるので、誤審や見逃しがあれば、それはその場で即、表面化する。審判だけが素手で戦っているという印象だ。審判受難の時代と言っていい。VARが実施されるのは2021シーズンからだと聞くが、この手のトラブルはそれまでつきものと考えるべき。後を絶たないだろう。

 この試合で誤審問題についてあまり大騒ぎしたくない理由は、この件について騒ぎ過ぎると本来、それ以上に触れなければならない案件が、隅に追いやられかねないからだ。横浜対浦和戦で最初に触れなければならない点は誤審ではない。浦和が必要以上に弱いことの方がよっぽど大きな問題だ。

 予算規模でナンバーワンの座を長年にわたり維持してきたチームだ。昨年こそヴィッセル神戸に首位の座を譲ったが、Jリーグで一番のビッグクラブであることに変わりはない。しかしJ1で覇者に輝いたのは過去わずかに1度。優勝争いに加わる頻度もそう高くない。7位(2017年)、5位(2018年)と来て、さあ今年はと思いきやさっそく監督が更迭。成績も現在まで10位で、上位をうかがう勢いもない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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