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CL準決勝。バルサ、メッシではなくリバプールによって最大値が更新されたサッカーの魅力

杉山茂樹スポーツライター
写真:杉山茂樹/SHIGEKI SUGIYAMA

 バルセロナがリバプールに3-0で先勝したチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦を見て一番に何を思うか。リオネル・メッシは確かに凄かった。現在31歳。サッカー選手として下り坂にさしかかる年齢である。アタッカーにとってはなおさらだが、俊敏さと巧緻性はそのままに円熟味が増している印象だ。この試合の3点目のFKシーンでは、弾道のあまりの鋭さに震えが来たほどだった。まさにマンオブザマッチ級の活躍をしたメッシが、あっちこっちで見出しを飾るのは当然といえば当然かもしれない。

 先制弾となったルイス・スアレスのスライディングシュートも負けず劣らず鮮やかだった。超高度で芸術的。これまた見出しとして特筆したくなるスーパーゴールだった。

 しかし、バルサファンでもリバプールファンでもない1人の日本人が、この試合をダイジェスト版ではなく、90分間フルに眺めた時、一番何に驚くだろうか。もちろん人によって違うだろうし、サッカーにはいろんな見方があるので、こうでなければならないと断定するつもりはないが、こちらの目をなにより釘付けにさせたのは、選手の個人的なプレーではなく戦いのレベルだった。

 何というハイレベル。これまで見た何千試合の中でナンバーワンだと即断したくなる、サッカーというスポーツの魅力及び競技力の最大値が更新されたことを実感した戦いだった。

 第3者にとって、レベルの高さは娯楽性の高さと同義語だ。スコアは3-0ながら試合は滅茶苦茶面白かった。レベルの低い試合、退屈な試合はなかなか時間が経過しないものだが、この一戦は圧倒的に速かった。実際の30分が15分程度にしか感じられないほどだった。時が経つのを忘れ見入ってしまったのだ。サッカーファンではない人でさえ虜にしてしまいそうな、サッカーの普及発展に大貢献した試合と言ってもいい。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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