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ハリル報道を混乱に導く”日本化”したフットボールの正体

杉山茂樹スポーツライター
前回の協会会長選挙を争った原博実氏と田嶋幸三会長。混乱の原因はこの選挙結果に潜む(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 キャスターが大越健介氏に変わり、番組の雰囲気が本格色の強い大人っぽいムードに様変わりしたサンデースポーツ(NHK)。民放のスポーツ単独のニュース番組がほぼ消滅した中、この番組はスポーツファンにとって貴重な存在になっている。

 言い換えれば、2020年東京五輪との整合性を思わず疑いたくなる、スポーツ貧国ぶりを象徴する一件だ。民放の悲しい状況を踏まえれば、サンデースポーツは日曜日だけでなく、月火水……と毎日、放送されるくらいでないと、日本人がスポーツ好きの国民であることの証しにはならない。

 その前々回の番組には、サッカー協会の田嶋幸三会長が生出演。ハリルホジッチ解任、西野朗新監督誕生という物議を醸した交代劇について、大越キャスターの問いかけに、田嶋会長が答弁するという形で番組は進行した。

 その中で最も違和感を覚えたのが、西野新監督が抱負を語るVTRが流れた後、大越キャスターの口から出た台詞だ。

「いまの話(西野さんの話)でポイントになるのは、“日本化”したフットボールだと思いますが、ハリルホジッチを呼んだ理由というのは、日本化を脱皮し、縦に速い、当たりの強いサッカーを劇薬として入れようとしたわけですよね?」

 この設問を考えたのは大越キャスター自身なのか。台本を作った人なのか、定かではないが、代表チームを巡る日本サッカーの流れは、そうしたストーリーではない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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