長谷部不在を嘆くしかない現状。日本代表の知的財産は共有されているのか?

バイエルン戦で故障した長谷部(写真:アフロ)

 親善試合のシリア戦とW杯予選のイラク戦。最近行われた2試合の中で、よくない点として目に止まったのが守備的MFだ。チームの心臓部であるハズなのに、その役が果たせていない。ゲームをコントロールできていない。パス回しにリズムを与えることができない。就任以来、ベテランの長谷部誠ありきでメンバーを組んできたツケが、ここに来て現れている。

 その長谷部が怪我をしたのは、今春のブンデスリーガ、対バイエルン戦。代表戦では、2-0で勝利したUAEとのアウェー戦(3月23日)以来、試合から遠ざかっている。長谷部に代わり、招集されたのが今野泰幸。UAE戦に続き、6月7日に行われた親善試合対シリア戦でも貴重なゴールを叩き出している。

 次戦は8月31日のオーストラリア戦。勝てば、本大会出場が決まるが、敗戦、引き分ければ一転、大ピンチに見舞われる。シリア、イラクに立て続けに引き分けた日本が、それよりレベルの高いオーストラリア、サウジアラビアのどちらかから勝利する可能性は決して高くない。

 長谷部は復帰を果たせるのか。現在33歳だ。また、長谷部の代役として招集され、気を吐いた今野泰幸は34歳。その一学年上にあたる。

 長谷部と今野は、2014年ブラジルW杯後に就任したアギーレ新監督から声が掛からなかった。両者と遠藤保仁が招集されたのは、2014年11月。アジアカップの前だ。招集を発議したのがアギーレなのか、協会なのか、定かではないが、同年10月に行われたブラジル戦(シンガポール)に、テストを意識したメンバーで臨み0-4で敗れると、メディアもファンも一緒になってアギーレを批判。結果が欲しかったのだろう。長谷部、今野、遠藤の復帰を歓迎した。

 アジア杯の結果はベスト8。優勝チームに与えられるコンフェデレーションズ杯出場を逃すことになった。

 大会後、アギーレは解任。ハリルホジッチ新監督の判断が注目された。2018年W杯を30歳代半ばで迎える3人のベテラン守備的MFの扱いについて。2014年W杯終了後は3人とも外れたが、2015年アジア杯後は今野、遠藤が外れ、長谷部が残った。

 長谷部ありき。以来ハリルホジッチは、その姿勢を貫いていた。4-2-3-1の2のポジションには、長谷部と誰かが座った。軸は誰かではなく長谷部。それが2017年3月、長谷部の怪我によって崩れた。その結果、再び今野が招集され、それから4試合を経たいま、欠かせぬ存在になっている。それは、もう1人の誰かが、順調に育っていないことと、大きな関係がある。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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