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CLファイナル検証。全ゴールに決定的に関与したマイナスの折り返し

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

決勝戦。決勝トーナメントに入り活躍が目立ったユベントスのダニ・アウベスは、中盤フラット型4−4−2の右サイドハーフに収まった。ユーベと言えば3−4−2−1(あるいは3−4−1−2)で戦うことが多いチームで、D・アウベスはその場合、4の右として出場したが、この決勝ではそれよりひとつ高い位置でプレイした。つまりその下には、右サイドバックのバルザーリがいた。

対するレアル・マドリーは、中盤ダイヤモンド型4−4−2。誰かが左サイドに流れてこない限り、サイドはサイドバック1人になる。左で言うならマルセロ1人。彼は攻撃参加が仕掛けにくい状況に置かれていた。

逆サイド(左)で、D・アウベスと同じサイドハーフのポジションを務めたのはマンジュキッチだ。1トップをこなすこともできる長身FWは、従来よりやや低い位置で起用された。その対面で構えるカルバハルの攻撃参加にプレッシャーを掛ける役割を担っていた、本来ならば。ところが、長身サイドハーフはその仕事をあまり積極的ではなかった。

27分に1−1とする同点ゴールを決めたことも、気持ちを前掛かりにさせた理由かもしれないが、カルバハルはこれで積極的に前に出て行くことができた。カルバハルはC・ロナウドが決めた先制点と3点目に関与していたので、その遠因は、マンジュキッチにあるといっても言いすぎではない。

ユーベは、右サイド対策には成功したが、左サイド対策には失敗。それが敗因に繋がった。C・ロナウドは同じパターンで2ゴールをもぎ取った。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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