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美しいサッカーの解釈は人それぞれだが、個人的には”方向性”だと思うその理由

杉山茂樹スポーツライター
シャビ・アロンソ(写真右)(写真:ロイター/アフロ)

今季を最後に現役生活にピリオドを打つシャビ・アロンソ。レアル・マドリーから、バイエルンに移籍してきたのは3シーズン前の14−15で、それはグアルディオラ監督の就任2シーズン目にあたる。両者はつまり2シーズン、選手と監督の関係にあった。

年の差は10歳。シャビ・アロンソはレアル・ソシエダ時代、大学にも通う学士プロとして知られていた。だからというわけではないが、プレイも見るからに賢そうだった。非力ながらパスセンスに溢れ、下がり目の位置から、長短のパスでチームをよい流れに導く、まさにグアルディオラ2世。全体の動きに気を配るオーケストラの指揮者のようにチームを操った。

欧州で味わったカルチャーショックは数あれど、選手では、グアルディオラがいちばんと言いたくなるぐらい、その広角な展開力は日本にはないものとして、新鮮に映った。カンプノウの記者席は、ピッチを俯瞰するにはもってこいの特等席。ピッチ上の選手より見えているよい環境で、試合と向き合うことができる。相手の陣にどう攻め入れば有効か、浮き彫りになるのだが、そうした中で、こちらの想像を超えるルートをピッチ上に見いだすのがグアルディオラだった。

その手があったかと唸らせることたびたび。見る目を養う環境として、そこはまたとない場所だった。瞬間、どこに進むべきか。グアルディオラはその方向性に優れていた。簡単にサイドを変えられる選手だった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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