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多くの選手を使いまわしたポルトガル。手倉森監督が参考にすべき方法論とは

杉山茂樹スポーツライター

何を隠そう大会前、僕は、優勝はどこかと訊ねられれば「ポルトガル」と答えることにしていた。フランス、ドイツ、スペイン、イングランド、ベルギー、イタリア、ポルトガル、クロアチア……とは、ブックメーカーがつけた順番だが、正直、どのチームにもピンと来なかった。「ポルトガル!」は「買う」なら狙い目のチームという意味だった。

重視したのは過去の戦績だ。ベスト8(1996年)、ベスト4(2000年)、準優勝(2004年)、ベスト8(2008年)、ベスト4(2012年)。安定感は群を抜く。順番的にそろそろ来てもいいチームと考えた。ギリシャに優勝をさらわれた2004年は不運といえば不運。天の配剤に従えば、運が巡ってきても不思議はない頃だ、と。

ユーロ本大会に出場する24チームは、チャンピオンズリーグ(CL)本大会に出場する32チームより差のない間にひしめいている。実力伯仲だ。本命サイドのフランス、ドイツ、スペインには、CLのバルサ、R・マドリー、バイエルンほどの力はない。それ以外の国が優勝する波乱の目は十分あり。本命サイドより穴を狙う方が大会の特質に合っている、と。

逆に言えば、ポルトガルを推す材料はそれぐらいしかなかった。初戦でアイスランドに1−1で引き分けると、その予想は途端に揺らぎ始めた。続く第2戦のオーストリア戦でも引き分け。さらに第3戦目もハンガリーに3−3で引き分ける。3戦3分。ポルトガルは全体の15番目の成績で辛くもベスト16に滑り込んだ。ポルトガルの評価は地に落ちていた。試合内容も決してよくなかった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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