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サウール対ルーカス・バスケス。CL決勝マドリーダービーのポイントとは

杉山茂樹スポーツライター

マドリーダービーとなったチャンピオンズリーグ決勝。13−14シーズンの決勝に続く2年ぶりの戦いになるが、当時、アトレティコ側は大きな不利を抱えていた。

右サイドで重要な役割を果たしてきたアルダ・トゥラン(現バルサ)の欠場。同じく怪我で、出場が危ぶまれていたエースストライカー、ジエゴ・コスタは出場に漕ぎつけたが、開始わずか9分で故障が再発。ベンチに退いた。にもかかわらずアトレティコは、後半のロスタイムまでマドリーに対してリードする。マドリーはそこで同点に追いつき、延長で逆転勝利を飾ったわけだが、もしアトレティコが逃げ切っていれば、番狂わせこそが正しい表現といえた。

2年後の今回とは異なる様相である。アトレティコが勝利を飾っても、番狂わせという言葉は似合わない。大手ブックメーカーの一つであるウィリアムヒル社の予想によれば、マドリー対アトレティコの関係は、1.73倍対2.10倍。勝ち、分け、負けの関係で言えば、マドリー勝ち2.4倍、同分け2.9倍、同敗戦3.0倍。両者はほぼ55対45の関係にある。

おそらくその力関係は、皮膚感覚として両軍選手たちに浸透しているだろう。これが、キックオフと同時にどう動くか。60対40に近づけば、マドリーの選手はノリよくプレイできるが、50対50に近づくと、居心地悪いプレイになる。アトレティコの場合はその逆だ。

マドリーは、長所と短所が紙一重の関係にある。3人FW(C・ロナウド、ベンゼマ、ベイル)の攻撃力は確かに凄いが、それはあくまでもマイボール時に限った話。相手ボールに転じると、3人の存在は逆にマイナスになる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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