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低身長国の日本が追求すべき、二段構えのサイド攻撃

杉山茂樹スポーツライター

引いた相手にどう立ち向かうか。

「一番いいのはサイド攻撃だ」とハリルホジッチは語った。

カンボジア戦後の話だが、日本はそこでセンタリングを何本も上げた。しかし、そのほとんどに可能性を感じることができなかった。

ヘディングの強い選手がいないから。答えは簡単に見つかる。

しかしそれでも「サイド攻撃」は正しい答えだ。サッカーに教科書があるとすれば、そのように記されているに違いない。

「相手を騙す動きをしてスペースを作りなさいと言ったが、中で構える岡崎と武藤はだいたい同じ線上に入ってしまった」とは、ハリルホジッチの弁。

センタリングをいくら上げてもゴールに繋がらなかった理由は、真ん中に入った選手のポジショニングが悪かったからだと言う。僕はそれを聞いて、はいそうですか。と、全面的に納得することはできない。

カンボジア戦。日本のボール支配率は74%に及んだ。日本の攻撃は、結果的にほとんどが遅攻になった。センタリングが行われたのもそうした状況下だった。長友なら長友が、そこでサイドバックと1対1になり「いちにのさん」と言いたくなるような正直なタイミングでボールを上げた。可能性は、その瞬間から感じられなかった。真ん中の選手のポジショニングにかかわらず。

サイドでいかに意外性を出すか。スピード感を演出するか。カンボジアの選手をハッとさせるか。なにより、その工夫が足りなかった。

その他の選手は、長友なら長友1人に、その場を任せようとした。その相手ディフェンダーとの1対1を遠くから傍観した。長友は、手こずりながらもなんとかかわし、センタリングに及ぶ。だがその様子は、相手にも逐一伝わる。そしてボールは、予想通りのタイミングで上がってくる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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