Yahoo!ニュース

「日本での村田諒太戦にこだわる理由は?」ゲンナジー・ゴロフキンに一問一答

杉浦大介スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

4月9日 さいたまスーパーアリーナ

WBAスーパー、IBF世界ミドル級タイトル戦

WBAスーパー王者

村田諒太(帝拳/36歳/16勝(13KO)2敗)

12回戦

IBF王者

ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン/39歳(試合前日に40歳に)/41勝(36KO)1敗1分)

昨年11月のインタビュー:「日本で村田諒太となぜ戦うのですか?」最強王者ゲンナジー・ゴロフキンとの一問一答

*今回の一問一答はゴロフキン側の広報を通じたEメールの交換で行われた

村田諒太を一言で表現するなら?

――一度は昨年12月29日に挙行と発表された試合が4月まで延期となりました。準備の面で難しかったのはどういったところでしょう?

ゲンナジー・ゴロフキン(以下、GGG) : 一度始めたトレーニングを中断し、また再開しなければならなかったことです。ピーキングを失敗したくないので、延期が決まったあと、キャンプを中断して一度、カリフォルニアの自宅に戻りました。キャンプ再開の際には減量のことを考える必要がなく、トレーニングだけに集中できるように、自宅ではコンディショニングコーチと一緒に身体の力強さと体重を保つことを心がけました。それと同時に、リラックスし、身体を回復させるように努めたのです。トレーナーのジョナサン(・バンクス)から言われた通り、念頭に置いたのは「体重を増やさず、安定した状態でいること」。良い状態でキャンプに戻れたと感じています。

――キャンプはいつ頃、再開したのでしょうか?

GGG : 2月中旬です。

――村田戦に備えたスパーリングのパートナーには誰を起用したんでしょうか?最終的には何ラウンドくらいのスパーリングを消化予定ですか?

GGG : スパーリングは95~100ラウンドをこなすつもりです。

――村田諒太というボクサーを一言で表現するなら、どう表しますか?

GGG : “タフ”ですね。村田は勝ち方を知っている選手。しかも今回の試合は村田の地元で開催されるのだから、彼は最高の状態で臨んでくるでしょう。

――「ゴロフキン戦はボディがカギ」と村田選手は語っています、その点についてはどう考えていますか?

GGG : 良い考えだと思いますよ。すべてのボクサーがボディ打ちに磨きをかけるべき。それこそがボクシングで成功するカギですから。

日本での戦いにこだわる理由とは

――日本のパンデミックの状況を考えれば、この試合がいつリスケジュールされるかははっきりしませんでした。村田の代わりに他の選手と戦うことも考えましたか?

GGG : それは考えませんでした。今回の試合は私にとって重要な一戦であり、同時に私は村田のことを尊敬しています。私たちはそれぞれのベルトをかけて戦うことを望んでいるのです。お互いに抱いているリスペクトを思い返せば、約束を反故にすることは考えられませんでした。

――日本での村田戦をそれほど熱望する理由は?

GGG : 私は依然として可能な限り多くの世界タイトルを勝ち取りたいと考えていて、村田の持つWBAタイトルも魅力でした。また、私は外国で戦うのが好きだというのも理由の1つです。世界最高級のボクシングファンがいる日本で村田と戦えるのはエキサイティングなこと。世界王者とは世界中で戦うべきなのです。

――先ほども話した通り、試合が延期になって準備は難しくなったはずですが、逆にプラスに働く材料があったとすれば何でしょうか?

GGG : 戦術面により時間をかけて取り組むことができました。ただ、正直を言えば、もっと早い段階で戦えなかったのはやはり残念でした。こうしてリスケジュールされたことに感謝しなければいけません。

――村田に勝つと仮定し、9月にはサウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)との第3戦が内定しているとアメリカでは報道されています。この話は事実でしょうか?

GGG : 当面の対戦相手に敬意を払い、ここでは村田との戦いの話だけをしたいと思います。私が今、考えているのは村田のことだけ。この試合こそが私のキャリアで最も重要な試合なのです。

宿敵アルバレスとの第3戦が9月に内定と伝えられるが、今のゴロフキンの頭にはないという
宿敵アルバレスとの第3戦が9月に内定と伝えられるが、今のゴロフキンの頭にはないという写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

――日本での世界的なボクシング興行は、1990年の「タイソン世紀の番狂わせ」が有名です。今回の試合ではマイク・タイソン(アメリカ)対ジェームズ・ダグラス(アメリカ)戦以降、最大の試合かもしれません。当時のタイソンは勝てばイベンダー・ホリフィールド(アメリカ)戦が決まっており、カネロ戦が内定しているあなたと状況が似ていますが、その点についてどう思いますか?また、初めて戦う国ではどういった点に気をつけますか?

GGG : タイソン対ダグラス戦は、日本は”驚くべきことが起こる場所”であることを示したのでしょう!(笑)その試合と私の試合に共通点があるとは思いません。私は優れた陣営とともに、万全の準備をして日本に行くつもりです。敵地で戦う難しさは、相手が常にベストの状態で臨んでくるところにあります。地元ではまるで見えない何かに支えられ、普段以上の力が湧いてくるかのよう。気持ちの問題なのかもしれませんが、リング上ではそういった力を確かに感じます。ただ、私が敵地に赴くのはこれが初めてではなく、4月9日に何を準備すべきかもわかっています。そこでは特別な何かが目撃できるはずで、ボクシングファンにとっての贈り物のような試合になるでしょう。

――一般的により大きいと目されている試合が近未来に控えている状況で、村田戦に集中するのは難しくありませんか?

GGG : 特に支障はありません。私にとっては村田戦の方がより大きな試合なので、問題ですらありません。

まもなく40歳の今の方がより優れたボクサー

――万が一、村田戦が何らかの理由でまた延期されるとしたら、さらに延期してでも村田との決着を望みますか?

GGG : 今戦が予定通りに行われるとポジティブに考えておきたいです。

――来日はいつになるのでしょう?

GGG : それはまだ決定していません。

――試合前日の4月8日はあなたの誕生日です。どのように祝うのでしょうか?

GGG : (試合を終えて、)家族のもとに戻ったときに祝うつもりです。ただ、それ以前に計量後に良い食事が取れるのは嬉しいですね!

――日本で40歳を迎えることになります。ご自身の中で、衰えを感じる部分、逆に加齢とともに向上していると思う部分があれば、教えてください。

GGG : 私は健康なライフスタイルを心がけているので、年齢による衰えは感じません。アクティブな家族とともに過ごしていることも、若さを保つ助けになっているのでしょう。子供たちと過ごしているとへとへとになるので、夜もよく眠れます。年齢を重ねることによって得られる経験はお金では買えないもの。私は今の方がより優れたボクサーになったと信じていますよ。

――最後になりますが、今回の試合を楽しみにしている日本のファンに何を伝えたいですか?

GGG : 今戦は私にとってとても重要な戦いであり、これまででも最も面白い試合になるかもしれないと思っています。村田と私はすべてをかけて戦います。日本のボクシングファンは情熱的で、目の肥えた人たち。村田と私は皆さんに素晴らしいショウをお見せしたいと考えていて、それができると確信しています。

Photo By Tom Hogan/GGG Promotions
Photo By Tom Hogan/GGG Promotions

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

杉浦大介の最近の記事