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16戦連続初回KO勝ちを続けた話題の新鋭、エドガー・ベルランガが未来予想図を語る

杉浦大介スポーツライター
Photo By Mikey Williams/Top Rank

 プロデビュー以来、16戦連続初回KO勝ちを続けて話題になった破壊的パンチャーがいる。ニューヨーク出身のスーパーミドル級プロスペクト、エドガー・ベルランガだ。

 リングサイドで観ていると思わず腰が引けるほどのパワーパンチを持つベルランガは、24歳のプエルトリコ系アメリカ人。まだ8回戦にもかかわらず、BoxingScene.com、The Athleticといった米国内の主要媒体から昨年度の年間最高プロスペクトに選ばれた。

 特にプエルトリカンの商品価値が高いニューヨークでの注目度は高い。フェリックス・ティト・トリニダード、ミゲール・コットらの系譜を継ぎ、マディソン・スクウェア・ガーデンの新たな呼び物としての期待がかかりそうだ。

 この大型プロスペクトは4月24日、初の判定勝負を経験している。その日まで23勝(20KO)3敗1分のキャリアがあったデモンド・ニコルソン(アメリカ)戦から4度のダウンを奪いながら、フィニッシュはかなわず、大差の判定勝ち。無敗の戦績は17戦全勝(16KO)に伸びたものの、初回KO記録、連続KO記録はストップした。

 トップランク/ESPNのバックアップを受ける新鋭はこの1戦をどう振り返るのか。そして、どんな未来予想図を描いているのか。5月7日、サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)対ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)戦が行われたテキサス州アーリントンのファイトホテルで話を聞いた。

――4月の試合では2、3、5、8回にダウンを奪いながら、初めての判定勝利になりました。タフなファイトでもありましたが、どう振り返りますか?

エドガー・ベルランガ(以下、EB) : 自分の能力に自信を持っていますが、一方で僕は自身の最も辛辣な批評家でもあります。採点するならCプラス。満足できる内容ではなかったですが、良かったのはフルラウンドを戦う経験が積めたことです。また、パンチを浴びても戦い続けられるタフネスも示しました。それらは今後に生きてくるでしょう。 

――連続KO記録にばかり注目が集まっていましたが、自身としてはそこまでのこだわりはなかったということですか?

EB : 終わってすっきりしたという気持ちが強いですね。あの試合の相手は本当にタフで、僕のパンチをもらっても打ち返してくるだけの耐久力がありました。また、最終的には“ファイト”よりも“サバイバル”の方を重視してきました。そういう選手をKOするのは難しいものです。良い経験だったと今では思います。

――最近はプエルトリコの世界王者が少なくなったことを寂しがるファンが多いですが、プエルトリコ系として、両親の母国を代表する選手になりたいという思いはありますか?

EB : もちろんですよ。前の試合には多くのプエルトリコ人のファンが数多く会場に来てくれて、彼らの声援は嬉しかったですね。大きな注目を浴びる舞台で、実力のあるタフな選手を相手に力を証明できたと思います。今後、僕がニューヨークのマディソン・スクウェア・ガーデンのリングに立てば、多くのプエルトリカンが観に来てくれるでしょう。

――子供の頃に好きだった選手はだれですか?

EB : フェリックス・ティト・トリニダードです。

――今後の予定は?

EB : 次は7月下旬から8月上旬くらいにはリングに立ちたいと考えています。僕がその興行のメインイベンターになるんじゃないでしょうか。視聴率を稼げることも証明してきたので、セミファイナルじゃなく、ぜひともメインイベントでリングに立ちたいですね。この間の試合だってメインイベントよりも僕の試合の方が視聴率は高かったくらいなのだから、もう僕はメインに値すると思っています。

――すでにWBA、WBOでは世界ランキングにも入ってますが、いつ頃までに世界タイトルに挑戦したいと考えていますか?

EB : あと1年半くらいでタイトル戦が実現できるでしょう。例えばガブリエル・ロサド(アメリカ)のような実績、名前がある選手と、3試合くらいできればと思っています。良い内容で勝ち続ければ、世界まで辿り着けるはずです。最終的には3階級制覇し、何度も防衛できるような選手になっていきたいです。

 連続KO記録がストップし、ベルランガの周囲には安堵した関係者も多かったのではないか。162勝17敗というアマ戦績を持つ24歳は、最近はKOを意識するあまりややボクシングが荒くなっているように見えたからだ。ここで記録が止まり、初心に立ち返れるのは悪いことではあるまい。

 ESPNで全米中継された4月のベルランガ対ニコルソン戦は平均視聴件数80万3000件、ピーク82万9000件をマーク。本人が話している通り、その数字はメインイベントのエマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)対クリストファー・ディアス(プエルトリコ)戦の平均視聴件数71万5000件、ピーク79万7000件を上回るものだった。

 今回のインタビューは途中でマネージャーから「ESPNの番組生出演があるから」とストップがかかり、短いものになってしまった。こういったデータ、エピソードはベルランガのスター性の高さを物語る。敏腕マネージャー、キース・コノリーの契約選手なのもプラス材料。今後も派手に売り出されていくだろう。ぜひとも順調に伸びて欲しい。まだ未知数の要素も多いが、ボクシング界の起爆剤になれるだけの可能性を秘めた好素材であることは間違いないからだ。

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スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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