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WBSSを制した英国の新スター、世界Sライト級王者ジョシュ・テイラーが語る目標とは

杉浦大介スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

9月26日 イギリス ロンドン

BTスポーツ・スタジオ

WBAスーパー、IBF世界スーパーライト級統一王者

ジョシュ・テイラー(イギリス/29歳/16戦全勝(12KO))

IBF1位

アピヌン・コーンソーン(タイ/24歳/16戦全勝(13KO))

タイの危険なパンチャーとの指名戦

ーーアピヌンとのIBF指名防衛戦まであと2日ですが、コンディションはいかがですか?

ジョシュ・テイラー(以下、JT) : 体調はとても良く、ファイトの準備は整っています。トレーニングはもう終了。長い時間をかけて準備をしてきたので、リングに立つのが待ちきれません。

ーーアピヌンは昨年2月、日本で行われた挑戦者決定戦で近藤明広(一力)にセンセーションな5回KO勝ちを飾って話題になりました。あの試合の映像は見たと思いますが、アピヌンの印象はいかがですか?

JT : 日本での試合は見ました。とても強い選手ですね。パワーは素晴らしいですし、左右両方の拳に破壊力を秘めているのが印象的でした。長いラウンドに渡ってパワーを保つことができるのは長所ですし、パンチを放つタイミングも良いと思います。私はこの階級では長身ですが、彼も身長は私と同じくらいです。警戒すべきファイターではありますが、ただ私の方が実力は上で、勝つことができると信じています。

ーービクトル・ポストル(ウクライナ)戦、レジス・プログレイス(アメリカ)戦に代表されるように、あなたはいつもファンを喜ばせる試合をする印象があります。今回の試合もイギリス、アメリカの両方で生中継されますが、KOを狙ってファンにアピールするつもりですか?

JT : 普段通り、自分のボクシングを心がけますよ。今回は無観客のスタジオファイトになりますが、無観客でも、有観客でも、ノックアウトを意識して戦うことはありません。いつも通りに戦えば、結果はついてくると思っています。

ーーあなたはスピードとスキルに恵まれたサウスポーで、場合によってはインファイトもこなせることを示してきました。非常に多才なボクサーと評価されていますが、自身では最大の長所は何だと思いますか?

JT : うーん、それは答えるのが難しい質問ですね。私にはハンドスピードと、リング上で素早く動けるフットワークがあります。ディフェンスにも自信がありますし、すべてのことをハイレベルでこなせるという自負があります。長所を1つに絞るのは難しいと思います。

ーー昨年10月、プログレイスに勝ってワールド・ボクシング・スーパー・シリーズで優勝したことで、あなたの世界的な知名度と評価は大きく上がりました。プログレイス戦は内容的にも去年のベストファイトの1つと評判になりましたが、今、あの試合をどう振り返りますか?

JT : 素晴らしいファイトであり、激しい内容の接戦でもありました。もっとアウトボクシングをしても良かったのかもしれませんが、彼とのバトルの中でも私の方が一枚上回れたと思っています。お互いの力を引き出すことができたファイト。ああいった戦いの一部になれたことを、今でも嬉しく思っています。

ーーあの試合の後、タイソン・フューリー(イギリス)の元トレーナーだったベン・デイビソンがあなたのトレーナーになりました。新コンビ結成の意図はどういうところにあったのでしょう?

JT : (デイビソンの)指導法には以前から注目していたんです。ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)とのトレーニングも非常に印象的で、私のスタイルにもフィットすると考えました。今、彼の指導を受けるのには適したタイミングですし、最善の選択ができたと思っています。

評判の良い新トレーナー、ベン・デイビソンとのコンビでさらに成長した姿を見せるか Photo : Queensberry
評判の良い新トレーナー、ベン・デイビソンとのコンビでさらに成長した姿を見せるか Photo : Queensberry

同じトップランク傘下のラミレスと4団体統一戦か

ーーデビューからバリー・マクギガンのサイクロン・プロモーションズに属していましたが、去年、トップランクと契約しました。今ではMTKグローバル(マネージメント会社)、トップランクという強力タッグの後押しを受けているわけですが、トップランクのサポートをどのように感じますか?

JT : トップランクこそがボクシング界で最高のプロモーターだと認識しています。世界中で知名度がありますし、これまで様々な国で大興行を打ち、多くのビッグファイトを主催してきました。今後、私がビッグファイトを目指す上でも、トップランクと契約したことが大きな意味を持ってくるでしょう。重要な試合を組むのもより容易になるはずです。

ーースーパーライト級のビッグファイトとして、WBC、WBO統一王者ホゼ・ラミレス(アメリカ)との4団体統一戦がすでに話題になっています。先月行われ、ラミレスが2-0で判定勝ちを収めたラミレス対ポストル戦はどう見ましたか?

JT : 私の採点ではドローでした。前半はポストルがアウトボクシングし、後半はラミレスが追い上げたという展開でした。際どい内容ではありましたが、ポストルがタイトルを取れなかったのはアンラッキーだったと思います。

ーーラミレスに関して警戒すべき点はどんなところでしょう?

JT : 馬力があり、とてもパワフルな選手です。普段はポストル戦で見せたよりももっと上のパフォーマンスができる選手だと思っています。私たちが戦えば、すごい試合になるでしょう。非常にエキサイティングで、世界中のファンを喜ばせる戦いになるはずです。ただ、現時点では私はラミレスのことはあまり考えていません。今はコーンソーンとの防衛戦に集中しなければいけませんからね。

ーー最後にいくつか日本のファンからリクエストがあった質問をさせてください。まず、ボクシングを始めた頃、最初のアイドルだったボクサーは?

JT : 私のフェイバリットファイターはマニー・パッキャオ(フィリピン)でした。スピードがあり、それでいて残忍で、パワフルなボクシングが大好きでした。私と同じサウスポーで、ハンドスピードがあり、試合は常にオール・アクション。あと、リラックスしているときはとても面白い人であることにも好感を持ってきました。

ーーイギリスの選手で好きだったのは?

JT : ジョー・カルザギ、リッキー・ハットンです。

ーー現役で注目している選手は?

JT : サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、フューリーですね。他にもいますが、その3人が現役では私のフェイバリットです。

ーー最後に今後の展望、目標を聞かせてください。

JT : まずはスーパーライト級の統一王者になるというのが現在の最大目標です。それを成し遂げたとしたら、その後は2、3階級制覇を目指していきたいと思っています。

ーーラミレスに勝って4団体統一王者になったら、一般的にあなたはウェルター級に上がると目されています。自身でもそのつもりですか?

JT : それについてはまだわかりません。その時の状況次第ですね。ウェルター級に上がるかもしれませんし、スーパーライト級で防衛戦を行うかもしれません。その時点でのベストオプションを模索することになるでしょう。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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