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村田諒太のスパーリングパートナー、パトリック・デイ(WBC米大陸Sウェルター級王者)が語る日本の日々

杉浦大介スポーツライター
地元のジムで練習に励むパトリック・デイ。右はトレーナーのジョー・ヒギンス氏

 WBC米大陸スーパーウェルター級王者

 パトリック・デイ(アメリカ)

 1992年8月9日生まれ 25歳

 ニューヨーク州フリーポート出身

 身長175cmのボクサータイプ。プロ戦績は14勝(6KO)2敗1分 。5月20日に開催されたWBA世界ミドル級王座決定戦、村田諒太(帝拳)対アッサン・エンダム(フランス) 戦前、日本で村田のチーフ・スパーリングパートナーを務めた。アメリカに戻って迎えた7月15日、15戦全勝(8KO)だったエリック・ウォーカー(アメリカ)からダウンを奪っての判定勝ちでWBC米大陸スーパーウェルター級タイトルを奪取。9月には再び来日し、エンダムとの再戦を控えた村田のスパーリングパートナーを務めることが決まっている。

 Web スポルティーバに掲載されたインタヴューのVol.1

 村田諒太のスパーリングパートナーが語る 「今度こそ確実に勝つ方法」

日本から戻った直後にWBC下部タイトルを奪取

ーー村田対エンダム第1戦の前に日本滞在しましたが、日本文化の印象は?

PD:日本の生活はアメリカとはかなり異なるものでしたが、とても気に入りました。日本の人たちはとても礼儀正しく、周囲の人間に敬意を払います。辛抱強く、他人を不快にさせるようなことはしません。僕がヘルプが必要なときは、常に誰かが助けてくれました。レストランで食事を注文するとき、スーパーマーケットで何かを買うとき、着る服を探しているときなど、いつでも手を貸してくれました。

ーー英語を話せる人たちばかりではないですが、コミュニケーションは不自由はなかったですか? 

PD:ボディランゲージを使うことが多かったですね。手を使ってサインを送ったり、ジェスチャーで示したり。ただ、英単語を知っている人はかなりたくさんいました。流暢ではなくとも、英語を話そうとしてくれる人はいて、そういった姿勢には今でも感謝しています。

ーー帝拳ジムでの練習は月〜金に行ったんですか? 

PD:土曜もジムに行きました。週6日です。練習内容は日々違いましたが、東京の街を毎日走り、6日間はジムで練習しました。週3日は村田とスパーリングをして、あとの3日はトレーニングをこなしました。

ーー東京観光はしなかったんですか?

PD:村田のプロモーターの本田明彦会長が観光ツアーを組んでくれたんですよ。だからビューティフルな東京の街を見て回ることもできました。

ーー日本の生活で最も印象に残っているのは? 

PD:やはり食事ですね。日本のご飯は美味しいものばかり。本当に素晴らしかったですよ。

ーー日本から戻った後、7月15日に行ったWBC米大陸スーパーウェルター級タイトル戦を振り返ってもらえますか?

PD:とてもラフなファイトで、相手は常に緊張感に満ち溢れた選手でした。良いパンチを決めて、ダウンを奪っても、最後まで勝利を目指してきました。彼もタイトルを手放したくないという思いが強かったのでしょう。厳しい戦いでしたが、無敗のタフな選手に勝てたことを嬉しく思います。得意のジャブを上手く使い、相手をコントロールできたことが良かったですね。

いつか日本で試合がしてみたい

ーーWBC の下部タイトルを手に入れ、ランキングも上がるはずです。11月下旬にはテレビ中継される興行に出場するという話も出ています。今後の青写真は? 

PD:早くスーパーウェルター級のトップ15に入りたいですね。遠からず到達できると思っています。最終目標は世界タイトルを取ることですが、まずは少しずつでもそれに近づいていくこと。ランキングのトップ15、トップ10に入るようになれば、ビッグネームとの対戦、ビッグファイトが見えてくるはずです。

ーールー・ディベラ・プロモーターの意向次第でタイトル戦を早期実現させることも不可能ではないと思いますが、焦る気持ちはないということですか?

PD:僕にはまだ経験が必要です。メジャータイトルを持っている選手たちは、僕より歳上だし、大舞台の経験も豊富です。年齢を重ねると、リング上でも冷静でいられ、自身の感情をコントロールできるようになるし、身体も強くなるもの。もっと経験を積み、より快適に、自信を持ってファイトできるようになりたいんです。

ーー日本で試合をしてみたいという希望はありますか? 

PD:もちろんです。実現したら、僕にとって大きな意味のあるファイトになります。日本は快適に過ごせる場所。日本にいると穏やかな気持ちになるし、美味しいものもたくさん食べれますからね(笑)。日本滞在中に友人もできて、日本の仲間たちに僕のファイトを見て欲しいという気持ちもあります。そして、もともと世界の様々な場所で試合をするというのは僕の夢でもあるんです。シュガー・レイ・ロビンソン、モハメッド・アリ(ともにアメリカ)がそうしたように、様々な国でファイトしてみたいです。

ーー帝拳ジムの本田会長に日本でファイトしてみたいという希望は伝えましたか? 

PD:いえ、それは僕の仕事ではないですから。僕のプロモーターのルー・ディベラが決めることです。幸運なことに、ディベラと本田会長は良い関係を築いています。いつか2人が話し合い、ファイトできる日が来れば素晴らしいでしょう。

ーー子供の頃のフェイバリットファイターは? 

PD:シュガー・レイ・ロビンソン(アメリカ)です。 

ーーシュガー・レイ・レナード(アメリカ)ではなく、ロビンソンなんですね。 

PD:ロビンソンがNo.1で、レナードがNo.2なんです。ロビンソンこそが史上最高のファイター。見ることができる映像はそれほど多くはないですが、残っているものを見ると、彼がほぼすべてを備えた選手であることがわかります。パワフルで、スピードもあり、フットワークが良く、上質なジャブも備えている。彼こそが僕のフェイバリットファイターです。 

ーーボクサーとしての将来の目標は? 

PD:単なるチャンピオンではなく、伝説的な王者になりたいです。ロビンソン、レナード、マービン・ハグラー、トーマス・ハーンズ(すべてアメリカ)、ロベルト・デュラン(パナマ)といった選手たちの活躍は今でもボクシングファンの間で話題になります。そんな風に人々の記憶に残り続ける選手になれたら素晴らしいですね。最近では多くのボクサーが無敗レコードを保つことばかりに熱心で、フロイド・メイウェザー(アメリカ)のように安全策ばかり。そうではなく、スポーツファンにボクシングは面白いものだと思わせられる選手の一人になりたいです。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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