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【NBA】「D・ウェイドの姿勢を間近で見れた事に特別な意味があった」 タイラー・ジョンソン(ヒート)

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

タイラー・ジョンソン(ヒート)

1992年生まれ、24歳

ノースダコタ州出身 ポジションはPG/SG

フレズノ州立大で4年に渡って活躍したが、2014年のNBAドラフトでは指名漏れ。その後のサマーリーグにヒートの一員として参加し、契約を結んだが、開幕前に解雇と不遇が続いた。しかし、Dリーグで力を見せ、2015年2月についにヒートと2年契約。以降は抜群の身体能力を生かしてローテーション入りを果たした。今季はすべてベンチ登場で73試合に出場し、平均13.7得点、3.2アシスト、4.0リバウンドと自己最高の成績。MIP、6マン賞の候補に挙げられる活躍で、ヒートの後半戦の追い上げに大きく貢献した。

元同僚ウェイドは究極のプロフェッショナルだった

ーーNBA3年目にして好成績を残せた理由は? 

TJ : ハードワークが報われたんだ。このチームには良い人ばかりが所属しているから、楽しいと感じながら練習を積めたのが大きかった。ジムに来るのが辛いとは感じなかったし、責任感を持って日々のトレーニングをこなせた。他のみんながハードに動いているのに、一人で先にコートを出て行くような選手にはなりたくなかった。僕の成功は環境によるところが大きいと思っている。

ーー身体能力は定評を勝ち得ているけど、他に自身でも誇りに思っている部分は?

TJ : 身体能力やメンタルのアプローチよりも、チームのプラン通りにプレーできるところだ。全体に向上できているとは思うけど、まだ成長の余地は残っている。

ーー昨季までチームに属していたドウェイン・ウェイド(現シカゴ・ブルズ)から多くを学んだという話を聴いたことがある。具体的に彼から得たものは? 

TJ : ドウェインは究極のプロフェッショナル。去年も「もう歳だ」とか「ピークは過ぎた」とかいろいろ言われたけど、それでも最高級のシーズンを過ごした。練習に対する姿勢、ゲームへのアプローチは素晴らしいし、年齢を重ねても身体能力を保ち、他の選手にはできないようなプレーをゲーム内でみせてくれる。そんな彼の準備の過程を間近で見れたことは僕にとって重要な意味があった。

ーー制限付きFAとなった昨夏、ブルックリン・ネッツから4年5500万ドルの契約を受け取り、一時は移籍かと思われた。しかし、ヒートがその契約にマッチしたことで残留になった。ヒートに残るとわかったときの気持ちは? 

TJ : ハッピーだったよ。大金を得ることを目標にハードワークを続け、それが報われた。そして、これまで所属していたチームから力を認められたというのは特別だった。

ーー正直、ヒートがマッチしたことには驚かされた? 

TJ : ドウェインの移籍が決まった後、マイアミ残留の可能性が出てきたかなと思った。ただ、それ以前はブルックリンに行くことになるかなと考えていたのは事実だ。来季はニューヨークでプレーするんだろうと思っていた。

ーー昨オフの時点では、まだシーズンをフルに働いた実績がなかった君に対して“払いすぎ”といった批判の声もあった。そんな意見はモチベーションになった? 

TJ : 間違いないね。その一方で、去年のオフは多くの選手が凄い金額を受け取っていたから、いろいろ言われているのは僕だけではないかなとも思った(笑)僕は自分自身を信じていたし、もっと価値のある選手になれると感じていた。これで目標達成ではなく、さらに向上していきたいと思っている。

コービーの大ファン

ーー今季はMIP候補の一人にも名前が挙がったね。受賞のチャンスがあると思う?

TJ : うーん、今年は大きく数字を伸ばした選手がたくさんいるからね。僕は僕でより良いプレーヤーになれるように努めていくだけだよ。

ーー控えの得点源として確立したけど、スタメンに入りたいという思いは? 

TJ : いや、今の自身の仕事を気に入っている。6マンは自分のスタイルに適していると思うんだ。ベンチからエナジーを供給し、ゲームに変化を与える。スターターとして紹介されることにこだわりはない。それよりも第4クォーターにプレーし、ゲームをフィニッシュする存在でありたい。

ーー子供の頃のフェイバリットプレーヤーは? 

TJ : コービー・ブライアント。2番手は思い浮かばないくらいのファンなんだ。

ーーなぜコービー?

TJ : 僕はカリフォルニアの出身で、そして彼のマインドセットが大好きだった。ゲームに臨む姿勢の凄さではコービーの右に出るものはいない。僕はコービーファンだったから、レイカーズのファンにもなった。

ーーNBA入り後、コービーと話す機会はあった? 

TJ : いや、それがなかったんだ。対戦するときは僕がケガをしているか、彼がケガをしているかどちらかだったからね。プレーを実際に見る機会はあったけど、話はできなかった。

ーー将来の目標は?

TJ : 勝利の術を学びたい。プレーオフで勝ちたい。ファイナルに出て、優勝に近づきたい。それが目標でなかったら、職業の選択を間違っているよ。そして、個人としては日々少しでも上達したい。向上すれば、いろいろな勲章は自然に手に入るものだからね。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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