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【NBA】”名脇役”として新境地を開いた元スラムダンク王 ビンス・カーター(グリズリーズ)一問一答

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ヴィンス・カーター(メンフィス・グリズリーズ)

1977年1月26日生まれ、40歳

フロリダ州デイトナビーチ出身 ポジションはSG、SF

全盛期はNBA史上に残るダンカーとして絶大な人気を誇り、特に圧倒的な迫力で優勝を飾った2000年のダンクコンテストは語り草になった。2000~2007年まで8年連続オールスター選出。以降、身体能力の衰えとともにロールプレーヤー化が進んだが、豊富な経験とロングジャンパーを武器にサバイブを続けている。昨年、最優秀チームメート賞を受賞するなど、リーダーシップへの評価も高い。

一問一答は2月13日、ブルックリンでのネッツ戦後に収録。グループセッションでのコメントも含まれる

プレーするのが好きだから、適応できる

ーー40歳の今までコンディションを保てている理由は?

VC:このスポーツで続けていこうと思えば、努力する以外にないんだ。やって現役を続けるか、やらないか、そのどちらか。僕はプレーするのが好きで、競い合いが大好きだから、このゲームの中で単なる”年寄り”にはなりたくない。まだ貢献できるベテランでいたいから、身体をケアし、プレーできるだけの準備を整えていく。そのために多くのことをやっているよ。(調整が)辛い日もあれば、比較的容易な日もある。40歳でいることなんて何でもないと感じる朝があれば、40歳でプレーすることは悪いアイデアに思える朝もある。いずれにしても、準備しておく。やれるだけのことを事前にやっておくんだ。

ーースーパースターだった以前とは違う役割への適応は?

VC:若い頃と比べて、プレー時間、ボールに触る機会などは変わったけど、できるだけのことをやるという根本部分の心持ちは変わらない。それができているおかげで、こうやって長持ちできている。大事なのは現状を受け入れることで、それが上手くできないベテラン選手も多い。以前の自分の姿から離れられなかったら、次の仕事もなかなか上手くいかないもの。プレーするのが好きで、まだ続けていきたいと思っているからこそ、僕にはやり遂げられたんだろう。

ーー若い頃にはリーグ史上最高級のダンカーとして多くのハイライトを生み出したが、これまでのキャリアでベストモーメントを挙げると?

VC:現在もベストモーメントの中の1つだよ。この歳でまだコートに立ち、若い選手たちと競い合うことができているんだからね。今でもチームに貢献できていることは素晴らしいし、日々を大事にできている。もちろん過去にダンクで生み出したハイライトも、ファンに喜んでもらえて、YouTubeで振り返ることもできる。その映像はそれほど古いものではなく、鮮明なのも嬉しいことだ(笑)

グリズリーズの可能性は無限大

ーー2009年まで所属したニュージャージー・ネッツは後にブルックリンに移転したが、ネッツ戦では今でも多くの歓声を浴びている。

VC:クールなことだ。5年間を過ごしたネッツ時代のことをファンが覚えていてくれているのは嬉しい。ネッツ時代だけでなく、高校時代、あるいはラプターズ時代のジャージーを着てくれているファンの姿も見かける。僕のキャリアの中のそれぞれの時期にファンが感謝を捧げてくれるというのは幸福なことだ。

ーー今のネッツは低迷しているが、そのチームの大黒柱であり、後輩でもあるブルック・ロペスに声をかけるとしたら? 

VC:君は今でもフランチャイズの顔なんだから、このまま努力を続けろと言う。ブルックはこのチームにもう長く所属して、多くの貢献を果たしてきた。一人の戦士として、今後もベストを尽くして欲しい。もちろん負け続ければフラストレーションは溜まるもので、簡単なことではないのはわかっている。勝てないときは、ベストプレーヤーにプレッシャーがのしかかるものだから。ただ、これまで多くを成し遂げてきた選手だから、乗り越えて欲しい。必要だったらいろいろな人を話せと彼に伝えたんだ。ブルックがルーキーとして入団してきた時には、僕はまだネッツの選手だった。そんな彼が以降に実績を積み上げてきたことを僕も嬉しく思っているよ。 

ーーこれまで多くの強豪チームに属してきたあなたから見て、今季のグリズリーズはどこまでいけると思う? 

VC:可能性は無限大。今はとにかくプレーオフに向けてより良い順位が得られるように力を尽くすことだ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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