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「ゴンザガではみんなが家族の一員。八村塁は凄い選手になれる素材だ」 カイル・ウィルジャー(ロケッツ)

杉浦大介スポーツライター
Photo By Gemini Keez

カイル・ウィルジャー(ヒューストン・ロケッツ)

1992年10月20日生まれ、24歳

オレゴン州ポートランド出身 ポジションはPF

ケンタッキー大で2年を過ごした後(2012年には控えながらNCAAトーナメント優勝)、2013年夏にゴンザガ大に転校。得点力に恵まれたストレッチ4として、大学での最後のシーズンとなった2015〜16年に平均20.4得点をマークした。しかし、昨年度のドラフトでは指名漏れ。その後にロケッツと契約し、シュート力を買われてロースター入りを果たした。今季最初の47戦では9試合のみに出場し、平均3.2分で1.1得点、0.8リバウンドの成績を残している。

ゴンザガ大の活躍が街のすべて

ーー母校のゴンザガ大のゲームはチェックしている?

KW:もちろんだ。去年までプレーしていたわけだから、選手、スタッフともにまだ馴染みのある人ばかり。彼らがどうしているか、いつも注目しているよ。

ーーここまで全勝で突っ走っているね。

KW:本当に素晴らしいプレーをしている。ただ全勝というわけではなく、多くの新入団選手が徐々に馴染んで、チーム全体が向上している。まだ伸びしろは残っているよ。さらに良いチームになるポテンシャルを秘めていると思う。

ーーワシントン州スポケーンという地方都市にありながら、これだけ毎年強いチームを作ってくる理由をOBの君はどう説明する?

KW:とにかくコーチ陣のリクルートの力が素晴らしいんだ。毎年のように海外から知名度は低くとも実力のある選手を連れてくる。そういったプレーヤーを適切な方法で育成し、しっかりとしたプログラムに従ってチーム作りをする。昨季はレッドシャツだったナイジェル・ウィリアムス=ゴス(ワシントン大から転校)とジョナサン・ウィリアムス(ミズーリ大から転校)が、その間にハードに練習し、今年に好成績を残しているのは大きいね。

ーーマーク・ヒューHCはどんなコーチ? 

KW:オフェンス面では選手たちにプレーを確実に遂行させる能力に長けている。何より、とにかく常にハードにプレーすることを強調するんだ。

ーースポケーンはどんな街? 

KW:周囲にはまったくなにもない街だけど、それがゴンザガ大のバスケットボールを特別にする要素の1つなのだろう。他にプロスポーツのチームがあるわけではない。だからゴンザガ大の活躍が地元の人々のすべてなんだ。 

ーー母校の仲間たちとは今でもコミュニケーションを取っている? 

KW:NBAで活躍する(ドマンタス・)サボニス(オクラホマシティ・サンダー)は僕のベストフレンドの一人で、よく連絡を取っているよ。それからコーチ陣ともたまに話すことがある。 

八村のポテンシャルは素晴らしい

ーー同じくゴンザガ大の卒業生のケリー・オリニク(ボストン・セルティックス)との関係は?

KW:オリニクとも親しくさせてもらっている。もともと彼のサポートが僕がゴンザガ大に進んだ主要な理由だったんだ。ゴンザガは本当にファミリーのような雰囲気で、あの学校に行ったものはみんなが家族の一員になる。

ーー日本からの新入生、八村塁のことは知っている? 

KW:いや、彼とはまだ逢ったことがないんだ。ただ彼のプレーを見て、素晴らしいポテンシャルを秘めていることはよくわかった。良い選手だよ。ハードに練習すれば、もっと凄いプレーヤーになれる素材だと思う。 

ーー彼のような外国からのリクルート選手は語学上達が成功の鍵になるのかな?

KW:そう、言葉の壁を破ることは重要な要素だ。宿題をしっかりとやって、他の選手たちと英語での会話を続けて早く馴染んで欲しいね。

ーー君個人としては今年からNBAでプレーしているけど、カレッジとNBAの違いはどこに感じる? 

KW:サイズと身体能力かな。あと、選手たちがバスケットボールに関して聡明なことが最大の違いかもしれない。このリーグでは誰もがプレーの方法を詳細な形で理解している。ただクイックネスに秀でいたり、パワーがあったりしても、それだけではNBA ではやっていけない。

ーー君のシュート力はNBAでも通用すると聴くけど、あと向上すべきところは?

KW:ディフェンス面での正しいポジショニングだ。そしてより強靭な選手とのマッチアップに耐えられるだけの体を作ることかな。

ーー今季後半戦での目標は? 

KW:とにかく日々向上していくこと。今の僕は強いチームに所属していて、多くのプレー時間を得られてはいない。しかし、このチームの選手たちと日々ハードなトレーニングを積むだけでも、得るものは多いはずだ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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