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5年目の日々是気付。心に響く『嵐のワクワク学校 2015』

杉谷伸子映画ライター

『嵐のワクワク学校』が今年も開催された。シンガポールや上海でのライブビューイングも行われ、全4日間6公演で東京・大阪で246,000人を動員した人気イベント。最終日となった6月28日(日)の東京ドーム17時公演を取材。5年目の今年はさらに楽しい学校になっていた。

東日本大震災をきっかけに始まった『嵐のワクワク学校』。今年はHey!Say!JUMP山田涼介知念侑李中島裕翔岡本圭人有岡大貴高木雄也伊野尾慧八乙女光薮宏太)が生徒役で参加。会場には先生役の相葉雅紀松本潤二宮和也大野智櫻井翔)それぞれの巨大な肖像画が飾られ、大野は茶人風、松本は戦国武将風と各人の雰囲気にハマっていれば、Hey!Say!JUMPの9人が寺子屋の生徒として描かれているというふうに、例年同様、授業が始まる前から生徒をワクワクさせてくれる趣向が凝らされている。

斬新!45000人の盆踊り&大茶会

日々是気付」をテーマに掲げるワクワク学校。『嵐のワクワク学校2015~日本がもっと楽しくなる四季の授業~』と銘打たれた授業は、「春」の入学式に始まり、再びめぐってくる「春」に迎える卒業式まで、移り変わる季節を通して、日本の伝統と文化を学ぶという構成のもと、嵐の5人の先生がそれぞれのテーマのもと授業を展開。

各授業のテーマ

二宮先生「日本人と米づくり」

松本先生「伝統を受け継ぎ、次の世代に伝えよう」

大野先生「日本の“茶道”&おもてなし」

相葉先生「年忘れ&年越し」

櫻井先生「年初めに福を呼ぶ!&初心を忘れずに」

特にアナウンスはされなかったが、二宮は初夏、松本は真夏、大野は秋、相葉は年末、櫻井は新年という具合にそれぞれが生まれた季節を担当しているあたりに気づくのも、ファン的なお楽しみ。

“学校”とあるので、学齢の子供が対象のイメージだが、実際4万5千人の生徒には大人も多い。幅広い世代が楽しめる授業というのはなかなか難しいと思うが、それぞれにメリハリを効かせた授業は大人の知識欲も刺激しつつ、イベントとしてもとても中身の濃いものだったのだ。

「日本人と米づくり」では、新潟・魚沼のゆるキャラ米米じいちゃん(まいまいじいちゃん)とコラボし、米という文字の由来である八十八手間の解説をするなか、大野と知念が田植えにチャレンジ。聞き覚えのある米米じいちゃんの声に「米米じいちゃん、あなたですよね?」という松本に、二宮がとぼけるやりとりも会場を沸かせる。最後の88手間目は、来年の米作りのための記録をつけるという作業だという話に、米作りに限らず あらゆることに通じる“復習”の大切さを感じた人も少なくないのでは。

「伝統を受け継ぎ、次の世代に伝えよう」では、東京都無形文化財である長板中形を紹介。松本の鯔背さを際立たせていた流水紋をはじめ、嵐とHey!Say!JUMPが長板中板で染めたさまざまな伝統柄の浴衣で粋な姿を見せれば、俄然、長板中形や浴衣への興味も湧いてくるではないか! さらに、その浴衣男子たちと、『Happiness』をアレンジした『Happiness音頭』を習って、4万5千人の盆踊り大会

「日本の“茶道”&おもてなし」では京都の裏千家で学んできた大野が、櫻井を主客としてお茶を点てる。柄杓でお湯を組む大野の手が震えるほどの静寂にドームが包まれるのも新鮮だったが、最期の一口を音を立てて飲む吸い切りを、「エアーで!」という大野の指示のもと、これまた4万5千人全員で一斉に音を立ててエア吸い切りするという試みも斬新。全員参加で楽しめる趣向で、敷居が高いイメージのある世界を身近に感じさせてくれた。

「年忘れ&年越し」では年末の恒例行事をお勉強。餅つき名人を迎えて、相葉が高速餅つきに挑戦。彼に先立って挑戦した薮が使った杵よりもかなり軽量に見える杵を使ってみせたりと、授業のなかにも笑いがふんだん。人間の108の煩悩を鐘をつくことでなくす除夜の鐘について学んだあとは、会場の生徒から寄せられた4万5000枚の「忘れたいこと」を記した紙を燃やすという趣向も。

「年初めに福を呼ぶ!&初心を忘れずに」では、兵庫県西宮神社開門神事福男選びにあやかり、今年の福男志和智徳さんを交えて、福男選びを再現。メンバーの援護を受けて序盤飛ばした櫻井を軽々と抜き去った福男のさすがの脚力にドームが沸く一方、新年の抱負に絡めて、2008年に発売されたシングル『Beautiful days』に収録されているシークレットトークの内容を検証。焼肉店での5人の食事会のゆるいトークがCDに収録されていることに驚くHey!Say!JUMPに10年後の抱負を訪ねたりと盛りだくさんの企画のなか、櫻井は「一年の計は元旦にあり」という毛利元就の言葉には「一月の計は朔にあり、一日の計は鶏鳴にあり」という続きがあることを紹介。変われるチャンスは月の始まりにも一日の始まりにもあるという言葉を通して、「いつ何時も初心を大事にすることが大切」と、一年の折り返しの時期に改めて気合を入れ直させてくれた。

伝統も嵐の魅力も、再認識

各授業のまとめの言葉

二宮「お米は日本のたからもの」

松本「伝統は世の中を明るくする先祖からの贈り物」

大野「おもてなしは“形”より“心”が大事」

相葉「忘れて許して笑顔が生まれる」

櫻井「一年の計は元旦にあり 一月の計は朔にあり 一日の計は鶏鳴にあり」

それぞれのまとめの言葉はもちろんだが、茶道の作法について臆せずに質問する大野らしい姿勢、年忘れという伝統行事に関して、「人の失敗を忘れて許してあげるという使い方もあるのでは」という相葉の言葉など、授業の随所に滲み出る5人の人となりも魅力的だった授業のかずかず。

作法は拙くても、ただ茶を振る舞いたいという亭主の気持ちに利休が感銘を受けたというとある茶会のエピソードや、お坊さんの世界には、世の中の教えを伝えていくということを「伝える灯り」と書いて伝灯というなど、大人も改めて感心する知識や情報も豊富なら、小さな子供も楽しめるアトラクション的な企画もたっぷり。幅広い世代に愛される嵐ならではの工夫が凝らされた授業に、「学ぶ」ということに対する新たな刺激を受けた大人も多かったのではないだろうか。

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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