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災害級の猛暑は今度いつやってくるのか?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
記録的猛暑(写真:つのだよしお/アフロ)

6月末の記録的猛暑

上空500hPa高度と850hPa気温の平年偏差(ウェザーマップ)
上空500hPa高度と850hPa気温の平年偏差(ウェザーマップ)

今週は台風4号の影響もあり、局地的ではありますが、各地で猛烈な雨が観測されるなど、大雨の降りやすい気象条件となっています。

雨の影響などで、先週までの記録的な猛暑も影を潜めていますが、では次の災害級の猛暑はいつやってくるのでしょうか?

まず上図をご覧ください。これは40度以上が続出するなど、記録的な猛暑となっていた先週の6月30日(木)を中心とした5日移動平均の実況解析で、左図は上空500hPa(上空6000メートル付近)の高度偏差、右図は上空850hPa(上空1500メートル付近)の気温偏差を表しています。

左図で5880メートルの等値線は夏の太平洋高気圧に相当しますが、これが東北地方まで張り出しており、日本付近ではすっぽりと高度場が高くなっているのが分かります。一見するとまさに盛夏期の7月下旬から8月上旬のような姿で、これとリンクするように右図の上空1500メートル付近の気温も平年よりかなり高く、特に東日本周辺には5度以上も高い赤色が広がっています。

さらにこの時は上空10000メートル付近に張り出すチベット高気圧も勢力を強めていたため、2重の高気圧に覆われるような形で記録的な猛暑となりました。広い範囲で数日間以上続くような猛暑は、多くの場合、このようなパターンでもたらされることが多いのですが、今度はいつこのような2重高気圧のパターンとなるでしょうか?

7月20日頃の予想は?

上空500hPa高度と850hPa気温の平年偏差(ウェザーマップ)
上空500hPa高度と850hPa気温の平年偏差(ウェザーマップ)

この先、来週の週明けにやや太平洋高気圧が強まる気配はありますが、本州付近をすっぽりと覆うような感じではありません。このため35度以上の猛暑日の地点数は内陸を中心にやや増えるかもしれませんが、体温をはるかに上回るような猛暑が続出することはないでしょう。

そして上図は再来週7月20日(水)頃を中心とした5日移動平均の予想で、平年偏差を表したものです。(見方は上述)

左図で5880メートルの太平洋高気圧に相当する範囲は日本の南(小笠原や沖縄)で強く、本州付近への張り出しはあまり強くありません。これに呼応するように上空1500メートル付近の気温も北日本ではマイナス偏差、東日本や西日本ではわずかにプラス偏差という予想です。

あくまでも現時点でのこの予想からすると、少なくとも今後2週間程度は2重高気圧に覆われるような場ではないため、広い範囲での猛暑は起こりづらいのではないかと推察されます。

なお太平洋高気圧の勢力は10日から2週間程度ごとに盛衰を繰り返すことがよくあり、タイミング的には7月下旬頃に、本州付近で強まるタイミングがあるかもしれません。ところが今の予報技術では2週間程度より先の状況を確からしく計算するのは非常に困難です。

今言えるのは、6月末のような広い範囲での大猛暑は、少なくとも7月中旬いっぱいは、やってくる可能性は小さいのではないかということです。7月下旬以降はまさに平年の盛夏期に入るため、広い範囲での猛暑の可能性は高まりますが、現段階でははっきりとした見通しは立っていません。

16日間予報の予想最高気温

予想最高気温(ウェザーマップ)
予想最高気温(ウェザーマップ)

上図はウェザーマップが発表した16日間予報の予想最高気温です。

まず東京に関してみると、今後、おおむね30度から32度程度で推移すると見られ、真夏日となることは多いものの、35度以上の猛暑日となるような予想は、今のところ見当たりません。ちなみに東京では6月25日から7月3日まで、観測史上1位の9日連続猛暑日を記録しました。

また先週40.0度を観測した熊谷では、時折35度程度まで上がるような日はありそうですが、それが長く続くようなことはなく、おおむね32度から33度程度の日が多い見込みです。

なお西日本ほど、太平洋高気圧の張り出しはやや強まるとみられ、福岡では33度から34度程度の日が多く、内陸では体温並みに上がるような所もありそうです。ただ40度近くまで達するような気象条件にはならないと思われます。

このように次に広範囲の猛暑がやってくるとしたら7月下旬以降となりそうですが、それがいつやってくるのか、それともやってこないのかは、今の技術では、残念ながら予想が大変困難となっています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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