ラニーニャ現象が夏まで続く可能性が高い

月の海面水温と平年偏差(気象庁発表に筆者加筆あり)
月の海面水温と平年偏差(気象庁発表に筆者加筆あり)

上図は気象庁から発表された4月の海面水温(上)とその平年偏差(下)です。

平年偏差(下)に注目すると、全球的には平年より高い赤色の海域が広がっているものの、南米ペルー沖の太平洋には東西約1万キロにも及ぶ平年より低い青色の海域が広がっており、昨秋から続くラニーニャ現象がまだ継続していることを表しています。(エルニーニョ現象発生時はこの海域が平年より高くなります。)

気象庁からは、先日(12日)、このラニーニャ現象が当初の予想より長引き、今夏まで続く可能性が高いという発表がありました。ラニーニャ現象やその反対のエルニーニョ現象は、日本や世界の天候に大きな影響をもたらしますが、台風に関してはどのような傾向があるのでしょうか。

エルニーニョ現象やラニーニャ現象発生時の台風の傾向

エルニーニョ現象やラニーニャ現象発生時の台風の傾向(気象庁発表をもとに筆者作成)
エルニーニョ現象やラニーニャ現象発生時の台風の傾向(気象庁発表をもとに筆者作成)

上図は気象庁から発表されているエルニーニョ現象やラニーニャ現象発生時の台風の傾向をまとめたものです。(1951年から2005年の期間を対象)

エルニーニョ現象発生時は台風が比較的長い時間をかけて発達しながら日本へ近づく傾向があり、ゆっくりと近づく勢力の強い台風に要注意です。一方、ラニーニャ現象発生時は台風の発生位置が西にずれる傾向があり、比較的日本の近くで発生する台風が多くなるため、発生後、すぐに近づく台風に要注意となります。

では近年の台風でも、このような傾向があるのでしょうか。

近年も同様の傾向

台風の発生場所(国立情報学研究所の発表資料に筆者加筆あり)
台風の発生場所(国立情報学研究所の発表資料に筆者加筆あり)

上図は近年のエルニーニョ現象発生時とラニーニャ現象発生時における年間の台風の発生地点を表したもので、それぞれの台風の発生地点数を、東経140度より東か西かでまとめてみました。

エルニーニョ現象が発生していた2014年から2015年をまとめると、東経140度より東側での発生は30個、西側での発生は20個で、2015年を中心に、やはり日本のはるか南東海上で多く発生する傾向がみてとれます。

一方、ラニーニャ現象が発生していた2020年から2021年をまとめると、東経140度より東側での発生はわずか8個だったのに対し、西側での発生は37個にも及び、やはりラニーニャ現象発生時には、明らかに発生地点が西寄りにずれる傾向が鮮明となっています。

気象庁の発表にもあったように発生地点が東側に遠くなれば、その分顕著に勢力を強めながら日本列島に近づく台風が増える一方、発生地点が西側にずれれば、発生してからすぐに日本列島に近づく台風が増えることにもなるので、どちらの危険度が大きいとはなかなか言えないかもしれません。

発生後すぐに近づくような台風に今年も要注意

台風の進路図(ウェザーマップ発表資料に筆者加筆あり)
台風の進路図(ウェザーマップ発表資料に筆者加筆あり)

上図はラニーニャ現象が発生していた昨年と一昨年の台風の一部抜粋です。

日本のすぐ南や沖縄付近で発生した台風が、わずか2~3日で関東沿岸に接近しており、ラニーニャ現象が継続している今年もこのような台風が増える可能性が考えられます。リードタイムが少ないまま、日本へ接近してくる台風に注意が必要となりそうです。

参考:国立情報学研究所(デジタル台風)