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台風14号は週末に本州南岸を東進か?そのカギを握る転向点の見定め

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風14号と秋雨前線の雲(ウェザーマップ)

台風14号は本州南岸を東進か?

台風14号の予報円(ウェザーマップ)
台風14号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

台風14号は日本の南海上を発達しながら西寄りに進んでいます。

気象庁の発表によると、きょう7日(水)午前9時現在、中心気圧975hPa、最大風速30メートル、最大瞬間風速45メートルの暴風域を持つ台風となっており、今後はさらに発達し、強い勢力となって、あす8日(木)から9日(金)にかけて、奄美大島の東海上から九州の南海上へ到達する予想です。

その後は東寄りにカーブし、予報円の真ん中を進むと、10日(土)から11日(日)にかけて、やや加速しながら本州の南岸に沿うように東寄りに進む予想です。

昨日までと比べると、種々の計算とも、気象庁の発表しているコースで比較的揃ってきている感じですが、本州南岸を進むタイミングにはまだかなりのずれがあり、例えば、関東への最接近を考えると、早ければ10日(土)夕方から夜にかけてとみている計算もあれば、遅ければ11日(日)夜以降としている計算もあり、このあたりはまだ1日以上のずれが生じています。

また本州の南岸通過ではなく、西日本に上陸しながら東日本を通過していくような計算もあり、このあたりは9日(金)頃からの転向点(東へ曲がるタイミング)が大きなカギを握っています。

転向点のカギを握る太平洋高気圧の勢力と偏西風

太平洋高気圧と台風、偏西風の予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧と台風、偏西風の予想(ウェザーマップ)

一般に台風の移動する方向は、日本の南海上では太平洋高気圧の縁に沿うように進み、日本付近に北上してくれば、上空の強い西風、偏西風に流されるように東進するのが最も多いパターンで、特にこれは秋に顕著となりますが、今回も計算が新しくなるごとにこのような感じになってきました。

今は台風14号の北側や東側から張り出しを強めている太平洋高気圧に押されるように、あるいは縁辺を回るように西から北西方向へ移動していますが、上図にある通り、この状態はあす8日(木)頃までがピークで、9日(金)頃からは、徐々に上空の偏西風に流されるように東寄りに進路を変える見通しです。

この東寄りに曲がっていく地点を転向点と呼んでいますが、この転向点の見定めが台風の進路にとっては非常に重要なものとなります。

なぜなら、転向点に差し掛かれば、台風は一気に速度を上げることが多く、秋には自動車並みの速度になるのも普通なため、この転向点の違いにより、その後東進していく地域では台風到達時刻に大きな時間変化が生じてしまうからです。

時には前日と比べて、接近が1日も早くなったということも多々あります。

今回の台風14号も、今のところ、9日(金)頃から転向点に差し掛かり、10日(土)から11日(日)にかけて、やや加速しながら本州の南岸を東進していく予想ですが、太平洋高気圧の勢力や上空の偏西風による転向点の見定めはまだ不確実性があり、九州から関東への最接近の時間帯が大きく変わる可能性があります。

特に最接近の時間帯が急速に早まる場合などは、防災対応が遅れてしまうこともありますので、今後も古い予報円ではなく、常に最新の予報円を参考にするようにして下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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