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予想が難しい日本の南に発生した熱帯低気圧

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
熱帯低気圧の雲(ウェザーマップ)

やや発達傾向にある熱帯低気圧

雲頂高度と雲形(ウェザーマップ)
雲頂高度と雲形(ウェザーマップ)

気象庁の予想通り、昨夜19日(土)午後9時、日本の南海上、北緯20度を少し越えたあたりで、熱帯低気圧が発生しました。

今のところ、やや発達傾向にあり、きょう20日(日)午前6時現在の気象庁による雲解析では、赤い丸の中、熱帯低気圧に伴う雲域は雲頂高度16キロ以上で、活発な積乱雲で構成されているようです。

まだかなり不確実性が大きい段階

予想天気図(気象庁発表資料に筆者加工あり)
予想天気図(気象庁発表資料に筆者加工あり)

気象庁がけさ発表した予想天気図によると、熱帯低気圧はあす21日(月)の夜にかけて、日本の南海上をゆっくりと北上する予想です。

また中心気圧に注目すると、昨夜、日本の南に発生した時点では1010hPaでしたが、きょう20日(日)午前3時の実況では1008hPa、そしてあす21日(月)午後9時の予想では1006hPaと、じわりじわりと発達する予想です。

ただこの勢力予想を含めて、今後の動向はまだかなり不確実性が大きく、種々の計算をみると、もっと発達傾向を示す計算がある一方で、冷たい空気を巻き込んで温帯低気圧に変わる計算や衰弱して消滅してしまうような計算もあります。

また進路に関しても、偏西風に乗るような形で北東方向へ進み、伊豆諸島付近を通過する計算がある一方で、偏西風には乗らず、上空の風に取り残されるような形で日本の南でしばらく動きが遅くなったり、なかにはゆっくりと沖縄方面を指向する計算があるなど、まだかなりばらついている状況です。またじわじわ本州付近に近付く計算もあります。

今のところ、台風の勢力にまで発達させている計算はごく少数派ではありますが、そのあたりを含めて、この熱帯低気圧の影響がなくなるまでは、最新の情報にご注意下さい。

当面伊豆諸島は大雨に注意を

雨の予想(ウェザーマップ)
雨の予想(ウェザーマップ)

当面影響がありそうなのは、熱帯低気圧周辺の湿った空気が流れ込み秋雨前線が活発化する伊豆諸島です。

今夜からあす21日(月)昼頃にかけて、八丈島など、伊豆諸島の南部を中心に雷を伴って、激しい雨の降る所があるでしょう。

大雨にご注意下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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