おとなしい南の海上

天気図と台風情報(気象庁発表資料)
天気図と台風情報(気象庁発表資料)

今年は7月下旬になっても、南の海上には台風の気配はなく、いつになくおとなしい状態が続いています。

タイトル画像をみると、太平洋上にはあちらこちら雲が発生はしているのですが、いくつかの計算結果を見る限り、これらの雲がすぐにまとまって、台風の勢力にまで発達するというシナリオはほとんどありません。

今年、台風1号が発生したのは、平年よりかなり遅い5月12日21時で、台風1号の発生としては1951年の統計開始以来8番目に遅い記録となりました。

それからちょうど1か月を経た6月12日21時に台風2号が発生しましたが、こちらは台風2号としては14番目に遅い記録で、台風2号に関しては特に目立つような遅い記録ではなかったわけですが、その後台風の発生がぱたりと止まりました。

次に発生すれば台風3号ということになるのですが、この台風3号の発生日に関して、すでに記録的な遅さとなっています。

台風3号の遅い発生記録を調べると、1位1998年8月9日9時、2位1975年7月31日21時、3位2016年7月26日15時、4位2010年7月19日21時となっており、すでに4位の記録を更新中で、さらに今週末の26日(日)までに発生しなければ3位が確定し、7月末までに発生しなければ2位も確定することになります。

インド洋の上昇流が太平洋で下降流に

下層と上層の収束、発散をあらわす図(気象庁発表資料に加工)
下層と上層の収束、発散をあらわす図(気象庁発表資料に加工)

現在、フィリピン沖の海水温は30℃以上もあり、台風が発生するには十分過ぎるくらい高くなっていますが、それでも台風がなかなか発生しない理由は、インド洋の海水温が高いことも関係しているようです。

少々専門的にはなりますが、上図は7月上旬における下層(約1500メートル)と上層(約12000メートル)の風の収束や発散を示したもので、平年と比べて、青色は濃いほど発散が強く、赤色は濃いほど収束が強いことをあらわしています。

これによるとインド洋では下層で赤色の収束、上層で青色の発散が強くなっており、これはインド洋では平年と比べて、広く上昇流が強いことをあらわしています。

一方太平洋はその逆で、上層は赤色で収束、下層は青色で発散を示しており、これは太平洋の広範囲で平年と比べて、下降流場(上昇流が弱い)となっていることをあらわしています。

下降流場(上昇流が弱い)では、広範囲に活発な雨雲は発生しづらくなるため、いくら海水温が高くても上空の環境に依存するところも大きいため、台風の発生は一筋縄にはいきません。

2016年と同じく、今後は多数発生に要注意?

台風の発生数(気象庁発表資料より抜粋加工)
台風の発生数(気象庁発表資料より抜粋加工)

気象庁が発表しているエルニーニョ監視速報によると、インド洋の海水温は7月をピークに8月以降は下がり続け、秋には平年より低くなる見通しとなっており、逆にフィリピン沖の海水温はさらに高くなる可能性があり、こうなるとこれまでとは逆で、太平洋上で台風が発生しやすい上昇流場が強められることになります。

実は2016年も似たような状況で、台風1号の発生は7月までずれこんだものの、その後一転して多くの台風が発生し、8月9月合計6個の台風が上陸、大きな災害が発生しました。

今年も2016年と同様、静かな状態から一転して多くの台風が発生する可能性があり、現在少ないからと言って、全く安心はできません。

参考:デジタル台風