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台風21号、今度は小笠原諸島で記録的な暴風のおそれ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風21号の雲(22日17時ウェザーマップ)

小笠原で最大瞬間風速60メートル?

台風21号の予報円(ウェザーマップ)
台風21号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

小笠原諸島の南にある台風21号が顕著に発達しており、タイトル画像をみると、それを象徴するかのように中心付近にポツンと小さな明瞭な眼が見えているのが分かります。

台風21号は、きょう午後6時現在、中心気圧935hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートルの勢力で、北西に進んでいます。

今後はさらに発達し、あす水曜日までには、中心気圧920hPa、最大風速55メートル、最大瞬間風速75メートルの猛烈な勢力となる予想です。

その後はやや弱まるものの、予報円の真ん中を予想される勢力で進むと、あさって木曜日午後3時には、中心気圧955hPa、最大瞬間風速60メートルの非常に強い勢力で、小笠原諸島父島付近に達する予想です。

先月以降、台風15号や台風19号により、本州付近では甚大な被害が発生していますが、今度は小笠原諸島で、暴風、大雨、高波などに厳重な警戒が必要となりそうです。

特に台風の中心が小笠原の西側を通れば、最も風が強くなる台風中心の東側(右側)の危険半円に入ることになり、最大瞬間風速60メートルクラスの烈風に見舞われてもおかしくありません。

暴風に対しては最大級の警戒が必要となりそうです。

台風15号に似た性質、コンパクトでも非常に強い

雨と風の予想(ウェザーマップ)
雨と風の予想(ウェザーマップ)

今回の台風21号の性質は、千葉県に暴風による甚大な被害をもたらした台風15号に似たものとなっています。

現在、台風の暴風域は半径130キロ程度で、それほど大きくはなく、どちらかというとコンパクトな台風なのですが、非常に強い勢力ということで、台風が近付くと比較的短い時間で、急激に大荒れとなることが予想されます。

上図木曜日午後2時の雨と風の予想でも分かる通り、台風21号に伴う大荒れの範囲は決して広くはない予想ですが、中心付近が近付いてしまうと記録的な暴風が吹くおそれがあります。

父島で観測された暴風記録

(1968年以降の最大瞬間風速)

1位59.7メートル(1986年9月28日台風17号

2位58.8メートル(2006年9月22日台風14号

3位58.6メートル(1983年11月7日台風17号

4位55.6メートル(2003年9月29日台風16号

5位55.1メートル(1997年6月13日台風6号

過去小笠原諸島の父島で観測された暴風記録は上記のとおりです。

小笠原は南の島だけあって、強い台風が比較的通りやすく、最大瞬間風速50メートル以上の暴風は何度も経験しています。

とはいえ、さすがに50メートルを超えた時には様々な被害が発生しています。

今回の台風21号はもし今予想されているコースを通ると上記に匹敵するような暴風が吹いてもおかしくありません。

今後も最新の台風情報とともに気象庁から発表される情報に十分ご注意下さい。

参考:デジタル台風

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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