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台風10号、紀伊半島や四国で総雨量1300ミリ以上の計算も

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
巨大な台風10号の雲(ウェザーマップ)

超大型の台風10号、西日本を直撃へ

台風10号予報円(ウェザーマップ)
台風10号予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁)

超大型の台風10号が日本の南を北西に進んでいます。

超大型の台風とは風速15メートル以上の強風域の半径が800キロ以上(直径1600キロ以上)もある巨大な台風のことで、超大型の台風が発生するのは2017年台風21号以来、2年ぶりです。

また暴風域も半径330キロ(直径660キロ)にも及んでおり、記録的な大きさとなっています。

台風10号は今後さらに勢力を強めながらあす水曜日に西日本に接近し、木曜日にかけて上陸、その後日本海へ抜ける予想です。

台風のサイズが巨大なため、もし予想通りのコースを進んだ場合、西日本全域が暴風域に入るのはもちろん、東日本から北日本にかけても広範囲で強風域に巻きこまれるでしょう。

台風の中心が離れて通る東日本や北日本でも警戒が必要な台風です。

そしてこの台風で極めて危険だと思われるものが記録的な大雨です。

大雨特別警報制定のきっかけともなった2011年台風12号では、紀伊半島で1000ミリをはるかに上回る記録的な豪雨となり、甚大な被害が発生しました。今回もこの時と似たような台風のサイズやコース、速度が予想されるため、紀伊半島豪雨に匹敵するような記録的な大雨が計算されています。

紀伊半島~九州の南東斜面が極めて危険

雨の予想(ウェザーマップ)
雨の予想(ウェザーマップ)

台風10号のサイズが大きく、周辺の暖湿気が広範囲に及んでいるため、あす水曜日には紀伊半島~九州にかけての南東斜面で、激しい雨や非常に激しい雨が降り出すでしょう。

その後、木曜日にかけて、台風本体の雨雲がかかるため一段と活発な雨雲がかかり続け、時折猛烈な雨を伴いながら雨が降り続く予想です。

さらに台風が日本海へ抜けても湿った南風の流入は続き、特に金曜日にかけて、紀伊半島で集中的な豪雨となる計算です。

総雨量1300ミリ以上の計算も

金曜日までの雨量計算(ウェザーマップ)
金曜日までの雨量計算(ウェザーマップ)

気象庁からさきほど出された情報では、西日本から東日本の太平洋側の南東斜面を中心に、多い所で1000ミリを超えるおそれがあると発表されました。

コンピュータの計算では、この1000ミリ超えのおそれが最も大きいのは、紀伊半島と四国の南東斜面(三重県、奈良県、和歌山県、徳島県、高知県)あたりとなっています。

特に奈良県、徳島県では1300ミリ以上の計算となっている所があります。

上記にも示しましたが、これは特別警報制定のきっかけとなった2011年台風12号の記録的な豪雨に匹敵するものです。

台風のサイズが大きく、しかも比較的ゆっくりと通過するため、長時間の大雨に伴い記録的な豪雨となり、大規模な土砂災害や河川の氾濫、決壊に伴う大水害などの発生も懸念される事態です。

台風の通過が予想される木曜日には、記録的な大雨に伴い、いつどこでどんな災害が発生してもおかしくない状態となりますので、早めの避難を心がけるようにすることが何よりも大切です。命を守る行動をお願いします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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