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過去に例のない珍しいコース取りの台風10号、週明け日本列島を直撃か

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
南海上で非常に強い台風へ発達した台風10号の雲(気象庁HP)

南下から一転、北上へ

南下後、一転北上する珍しい進路の台風10号(25日15時、気象庁)
南下後、一転北上する珍しい進路の台風10号(25日15時、気象庁)

最新の台風予報円(気象庁発表)

台風10号は先週19日(金)に伊豆諸島の近海で発生し、その後、西~南西に進み、沖縄の南海上で非常に強い台風へ発達しています。

ところが今後は一転、東~北東に進み、これまで進んできた進路を戻るように進んだあと、週明けには関東など東日本へ接近し、上陸する恐れの高い進路予想となっています。

南の海上にある台風は主に太平洋高気圧の強さにより北上したり、西進したり、またほぼ停滞したりと、様々な動きをするものですが、これまでに発生した台風1711個(1951年以降)の進路を調べてみる限り、伊豆諸島付近から沖縄の南まで進み、その後また北上して日本列島へ進んでくるようなコースを取った台風は過去に例がありません。

多くの場合、日本列島を目指す台風には過去に似たようなコースを取った台風(類似台風)があるものですが、今回の台風10号は類似台風の全くない、非常にまれな進路取りで日本列島に戻ってくることになりそうです。

今の予想通りの進路を取ると、来週火曜日(30日)頃、東日本付近へ進んでくる予想ですが、上空の偏西風に早めに引っ張られれば、月曜日(29日)の午後にも東日本へ上陸する恐れもある進路予想となっています。

更に今回は台風の暖湿気と大陸からの寒気が衝突し、雨雲がより発達する恐れがある他、かなり強い勢力で東日本へ進む可能性も考えられ、大雨や暴風、高潮などに対して、いつも以上の警戒が必要となるかもしれません。

以下に珍しい進路を取った台風をいくつか調べてみました。

過去の珍しい進路の台風(1964年14号)

1964年台風14号(気象庁HPより)
1964年台風14号(気象庁HPより)

この台風が今回の台風10号と最も似ているようなコース取りと言えるかもしれません。ただ類似台風とまでは言えないでしょう。小笠原の東で発生し、沖縄までまっすぐ西進したあと、ぐるっとループを描き、その後北上、九州を直撃しました。

過去の珍しい進路の台風(1974年台風14号)

1974年台風14号
1974年台風14号

これまた非常に珍しい進路を取っています。沖縄から大陸へ進み、一旦衰弱したあと、再び東シナ海から沖縄方面へ進み、再び台風へと復活したあと、東海地方を直撃しました。

過去の珍しい進路の台風(1986年台風14号)

1986年台風14号(気象庁HPより)
1986年台風14号(気象庁HPより)

南シナ海で発生し、その後2週間以上にわたり、台湾や沖縄、フィリピンの北海上で迷走したあげく、ベトナム方面へと進んでいきました。

過去の珍しい進路の台風(1990年台風11号)

1990年台風11号(気象庁HPより)
1990年台風11号(気象庁HPより)

九州付近から日本の南へ南下し、その後、一転北上し、東海地方を直撃しました。

過去の珍しい進路の台風(2003年台風18号)

2003年台風18号
2003年台風18号

日本の東で、1000キロ~2000キロのループを描いたあと、東の海上へ抜けて行きました。

これらの他にも、1955年台風9号、1960年台風14号、1972年台風7号、1973年台風6号、1985年台風12号、1990年台風11号、1996年台風12号、2001年台風16号、2002年台風11号、2011年台風15号、2012年台風14号などが複雑な進路を取った台風として上げられます。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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