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首都圏の水がめ~過去最も早いペースで貯水量が減少中~

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
満水位より約16mも水位の低下している矢木沢ダム(水資源機構沼田総合管理所)

5月末としては最低水準に

利根川水系8ダムとは?(国土交通省関東地方整備局HPより)
利根川水系8ダムとは?(国土交通省関東地方整備局HPより)
利根川水系8ダムの貯水量(国土交通省関東地方整備局HPより)
利根川水系8ダムの貯水量(国土交通省関東地方整備局HPより)

上図をご覧下さい。これは首都圏の水がめと言われる利根川水系8ダムの貯水量の変化を表したものです。

ことし(赤いライン)に注目すると、5月上旬までは平均を上回るほどの貯水量で推移していましたが、5月中旬から一気に減少に転じ、5月27日現在の貯水量は3億2500万トンあまりで、5月下旬としては過去最も少ない水準にまで急減していることが分かります。

ことしは冬の降雪量が記録的に少なかったことや暖冬傾向により早めに融雪が進んだことなどが影響し、いつもの年より早く、4月下旬頃にはほぼ満水の状態となりました。

しかし、そのあと5月の気温が高かったこと、あるいはゴールデンウィークが終わる頃から水源地帯での降水量が平年の4割以下にとどまっていることなどから貯水量が急速に減少してきたものと思われます。

20日間の降水量の平年比(気象庁HPより)
20日間の降水量の平年比(気象庁HPより)

また貯水量の減少に最も大きな影響を及ぼしているのが、1億トン以上の水を溜め込むことが出来る矢木沢ダムの貯水量の減少です。

5月27日現在、矢木沢ダムの貯水量は約5000万トン程度まで減少しており、貯水率は約46%とすでに半分以下の状態となっています。

国土交通省関東地方整備局でも、貯水量が減少していることから、5月25日に記者発表を行って、今後の貯水量の変化に注意をするよう呼びかけを行いました。

梅雨の雨量は多いが猛暑到来も?

気象庁が先日発表した3か月予報では、6月~7月にかけて梅雨らしい梅雨となる可能性が高く、降水量も比較的多くなると予想されている一方で、梅雨明け以降、8月にかけては猛暑となる可能性も示されています。

まだまだ時期尚早で今夏の水不足を語る時期ではありませんが、間もなく迎える梅雨の雨量次第では首都圏の水がめに黄色信号がともるかもしれません。

(図や表は気象庁HP、国土交通省関東地方整備局HPより引用)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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