10月のような”暖かい11月”の影響は?
今年はほとんど厳しい残暑もなく、秋の気温は順調に下がったため、秋を彩る紅葉も高い山から例年以上のペースで色付きが進みました。
ところが11月に入ってからは冷え込む日が少なく、平年より大幅に気温の高い状態が続いているため、順調だった紅葉の進み具合も一気にスローペースとなっているようで、またコートやセーターなどの冬物衣料や鍋に使う白菜などの売り上げにも影響が出ているようです。
更に本来ならば、すでにオープンしているはずの北海道や本州の高い山のスキー場にはほとんど雪がないため、オープンを延期している所も出始めているようです。
では11月に入ってから、実際どれ位気温が高いのでしょうか?
11月の気温は赤一色
ご覧のように、11月の気温の平年差を示した図(下)では、ほぼ日本列島全体が赤一色の状態となっています。気温観測の地点数は約900地点ありますが、このうち平年を下回っているのは北海道のオホーツク海側を中心としたわずか6地点のみです。
実に、99%以上の地点で平年よりも気温が高く、特に東北~九州にかけてはほとんどの地点で2℃~3℃程度高くなっています。これはこの期間としては10年に1度あるかないかの高温状態だと言うことも出来るでしょう。
更に、平年との差がより大きい地点(標高)をいくつかひろってみると、
青森県酸ヶ湯(890m)+3.3℃
福島県南郷 (494m)+3.5℃
栃木県五十里(620m)+3.4℃
長野県伊那 (633m)+3.6℃
愛知県稲武 (505m)+3.7℃
広島県庄原 (300m)+3.4℃
愛媛県久万 (511m)+3.4℃
熊本県南小国(448m)+4.0℃
など、標高の高い地点で特に著しい高温傾向となっているのが分かります。
これは、11月に入ってから上空に強い寒気があまり流れ込んできていないことと一致しているデータだと思います。
今の時期は平均すると、20日間で約4℃程度気温が下降していく時期にあたりますので、この期間の平均気温が3℃~4℃も高いというのは、まだまだ10月中旬~下旬頃の季節感の日が多かったということにもなるでしょう。
紅葉の進み具合が一気にスローペースとなったのも十分にうなずけるデータです。
寒気の南下しない11月
では、日本付近で気温が下がらない原因を探ると、上空の寒気があまり南下してこないことが挙げられます。
上図は上空500hPa(上空約5500m)の高度を示した図で、青いところは平年より高度が低い(気温が低い、寒気がある)ことを表し、オレンジ色のところは高度が高い(気温が高い、暖かい)ことをおおむね表しています。
これによると、9月~10月にかけて、日本付近は青い領域に覆われており、上空の気温は低温傾向だったことが分かります。
一方、11月になると一転し、上旬は北日本を中心にオレンジ色の領域が広がっており、直近の11日~17日にかけても同様の傾向が続いています。
つまり、11月に入ってから、日本付近の上空の気温は平年より高めで、なかなか寒気が南下してこない様子をうかがい知ることが出来ます。
これは過去最大規模に発達しつつあるエルニーニョ現象の影響が出ているのかもしれませんが、まだ明確ではありません。
来週以降はようやく寒気が南下へ
では今後はどうでしょうか?
どうやらこれまでよりは寒気が南下する頻度が多くなりそうです。
今のところ、来週の後半(27日~28日頃)と、12月1日~2日頃に比較的明瞭な寒気が西日本まで流れ込む予想で、平年よりむしろ寒くなる所もあるでしょう。
しかし、寒暖の差が大きくなる見込みで、平均すれば気温の高い傾向は12月にかけても続く見通しです。