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台風11号~西日本直撃のおそれ高まる~

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

台風11号、特徴は大きく2つ

台風は勢力を強めながら北上、西日本縦断へ。(14日午前9時気象庁HPより)
台風は勢力を強めながら北上、西日本縦断へ。(14日午前9時気象庁HPより)

最新の台風予報円(気象庁)

強い台風11号は日本の南を北上しています。

進路予想からはこの台風が西日本へ上陸する可能性は70%近くにまで上昇しています。

そして、今回の台風の特徴は大きく2つ挙げられると思います。

まず一つ目は動きが遅く、日本付近に入ってきても速度が上がらないこと、そしてもう一つは7月としては最強クラスの勢力で上陸するおそれがあるということです。

では最新の台風予報をもとにみていきましょう。

まず一つ目の速度に関して。

台風11号は木曜日~金曜日(16日~17日)にかけて西日本を縦断するおそれが高まっていますが、西日本を北上するタイミングでもせいぜい20キロ程度の速度が予想されています。これは日本付近で速度を上げる一般的な秋台風などと比べて半分以下の速度とも言え、その分、台風本体の影響時間がかなり長引くことになるでしょう。西日本は台風の北上する2日~3日程度、大荒れの続く所がありそうです。

台風の動きが遅いことによる最も危険な気象現象は極端な大雨です。今回と同じようなコース、速度で通過した4年前の台風12号では、紀伊半島で総雨量が1500~2000ミリ以上に達し(いわゆる紀伊半島豪雨)、特別警報制定のきっかけともなりました。

2011年台風12号に関する情報(気象庁HP)

台風11号でも、そのコースによっては紀伊半島、四国、九州の南東斜面を中心に、総雨量が500ミリ~1000ミリ以上(非公式)に達するような豪雨となるおそれがあると思います。このような場合は大雨特別警報に結びつく可能性も否定できませんので、降り方によっては最大級の警戒が必要となるかもしれません。

続いて、二つ目の強さに関して。

台風は今後、海水温が30℃近い暖かな海域で再び発達しながら北上し、あすにかけて非常に強い台風となる予想です。あさって木曜日の日中以降は徐々に勢力を落としながら北上する見込みですが、それでもかなり強い勢力を保って陸地に上がる可能性があります。もし勢力をあまり落とさずに上陸すれば、7月としては最も強いクラスでの上陸となる可能性があります。西日本では最大瞬間風速が沿岸部を中心に50メートル以上に達するおそれもあり、中心が通過する東側では特に警戒が必要です。

7月最強の台風(2007年台風4号)

高潮にも厳重警戒

そして、もうひとつ今回の台風で特に警戒を要するものとして高潮が挙げられます。

台風の通過が予想される木曜日~金曜日(16日~17日)頃は、新月で潮回りは大潮となります。このため、台風の通過と満潮が重なる時間帯を中心に、顕著な高潮が発生するおそれがあり、特に海水の逃げ場がなくなる瀬戸内海では厳重な警戒が必要だと思われます。

進路によっては2004年台風16号の高潮に匹敵するおそれもあります。

台風から比較的離れる予想の東日本でも、台風の東側(特に北東象限)では過去に多くの竜巻が発生していますので、油断できません。

台風12号は来週の後半以降に影響も

台風11号を追いかける形の台風12号(気象庁HPより)
台風11号を追いかける形の台風12号(気象庁HPより)

一方、昨日(13日)、西経域から進んできた台風12号は発達しながら西寄りに進んでいます。今後もしばらくは太平洋高気圧の縁に沿って西寄りに進むでしょう。仮にこの台風が日本付近に影響があるとすれば、来週の後半以降となります。

ちなみに、西経域に起源を持つ台風が日本付近まで進んでくることはほとんどなく、日本列島に上陸した台風は1997年台風19号のひとつだけです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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