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台風7号、5月としては異例の強さで小笠原諸島に接近のおそれ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風7号は非常に強い勢力で日本のはるか南を西進中。

グアムを直撃し、西進中

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台風7号の進路予想図(16日15時、気象庁発表)
台風7号の進路予想図(16日15時、気象庁発表)

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台風7号は昨夜(15日)、グアム島をほぼ直撃するように通過し、フィリピンの東海上を西寄りに進んでいます。

グアム島付近を通過した後、海水温の高い海域で一段と発達しており、きょう午後3時現在、中心気圧935hPa、最大瞬間風速70メートルの非常に強い台風となっています。

今後は更に勢力を増し、月曜日にかけて、中心気圧920hPa、最大瞬間風速70メートルとピークを迎えながら日本の南に進んでくる予想です。

仮に猛烈な勢力まで発達すれば、台風4号、台風6号に続き、今年早くも3個目の猛烈な台風となりますが、中心の眼がするどく見える雲の様子からはその可能性もあるように思います。

台風7号は、その後、北から北東へ転向し、来週の火曜日~水曜日(19日~20日)にかけて、小笠原諸島(父島、母島)付近を通過する予想となっています。

小笠原諸島に接近する頃には海水温が25℃程度まで落ちるため、勢力は徐々に落ちてくる予想ですが、それでも5月としては異例の強さで接近するおそれがあり、今後の台風の動きに厳重な警戒が必要です。

なお、台風7号が本州付近へ近付くおそれはほとんどありません。

小笠原諸島に接近した4月~5月の台風

1951年以降で、伊豆諸島や小笠原諸島に接近した台風は気象庁が発表しています。

台風の伊豆諸島や小笠原諸島への接近数

この中で、4月~5月にかけて、小笠原諸島へ接近した(300キロ以内)台風を調べると、4月7個、5月10個となっています。ですから、平均すると、4月~5月にかけて、約4年に1個程度は接近している計算となります。

ただ、この時期はまだ海水温が低い時期にあたるため、かなり発達する台風でも小笠原諸島に接近する頃には勢力を落とし、ほとんどの台風が中心気圧980hPa以上での最接近となっています。

そんな中、2個の台風、2007年台風2号(5月22日朝)と1976年台風6号(5月25日夜)が960hPa程度の強さで父島に最接近していました。

2007年台風2号の経路図(気象庁)

1976年台風6号の経路図(気象庁)

ただ、父島で記録された最大瞬間風速を調べると、2007年台風2号では15.8メートル、1976年台風6号では29.7メートルと台風がコンパクトであったためか、それほど強い風は観測されていませんでした。

父島では過去に50~60メートルの最大瞬間風速を何度も記録していますが、4月~5月にかけての記録はせいぜい30メートルを少し超える程度となっています。

今回の台風7号がもし父島を直撃するようなコースをとれば、4月~5月にかけての風の記録を大きく上回るような暴風が吹き荒れるかもしれません。

暴風の他、高波や高潮、大雨などにも警戒が必要です。また本州の太平洋側でもうねりが届きますので、高波にはご注意下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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