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週明けは「冬将軍」の到来

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

冬将軍とは・・・

よく、大陸から日本列島に流れ込む強い寒気のことを「冬将軍」という言葉で表します。

これはモスクワを攻めたナポレオンがあまりにも厳しい寒さのため敗走したことから、「シベリア大陸の寒気の厳しさを擬人化して使う表現」となっています。

その冬将軍の第一弾が週明けにも日本列島を襲来する見込みです。

11日(月)~13日(水)にかけては、北日本はもちろん、東日本でも、初雪や初氷、初霜などの便りが続出するかもしれません。

上空の寒気予想

主に日本海側で降る雪の目安として、上空約5000メートル、及び、上空約1500メートルの寒気が用いられます。これは地上(平地)で雪や大雪になる目安として、とても扱いやすいためです。

一般に、上空約5000メートルの気温が-30℃以下だと地上で雨から雪(みぞれ)に変わり、-36℃以下になると大雪になることが多くなります。

同じように、上空約1500メートルで-6℃以下だと地上で雨から雪(みぞれ)に変わり、-9℃以下だと積雪するような雪に、-12℃以下だと大雪になりやすくなります。

上空5000メートルの寒気
上空5000メートルの寒気
上空1500メートルの寒気
上空1500メートルの寒気

週明け11日(月)21時の寒気の予想をみると、北海道は上空約5000メートルで-36℃以下の寒気に覆われ、上空約1500メートルでも-12℃の寒気が到達しています。このため、北海道では大雪のおそれがある寒気の強さと言えます。

一方、東北地方には上空約5000メートルで-30℃の寒気が入り、上空約1500メートルでは-9℃のラインがかかっています。このため、東北地方では雪になるのはもちろん、平地でも積雪が発生するような降り方となるかもしれません。

また、北陸地方(主に新潟県)には上空約1500メートルで-6℃のラインがかかっており、雨に雪が混じるようなみぞれで初雪を観測するかもしれません。

ただし、上記で書いたものはあくまでも平地での目安であり、標高が高くなればなるほど気温が低く、雪が降りやすくなります。

東京都心でも初の10℃未満に

では、雪のあまり降らない太平洋側の寒さはどうなるでしょう?

東京都心の最低気温は、上空約1500メートルの気温に+10℃程度した位まで下がることが多く、今回上空約1500メートルの気温が-3℃程度となることを考えると、寒さがピークとなる12日(火)~13日(水)は朝の最低気温が7℃程度まで下がる計算です。今シーズン初めて10℃未満になるのはもちろん、一気に大きく10℃を割り込むことになりそうです。

都心以外の郊外などでは、平地でも0℃前後まで下がり、氷の張るような寒さとなるでしょう。

地上と上空の温度差は50℃にも!

上記に書いた雪になる目安ですが、実は日本海の海面水温にも大きく影響されます。

海面水温が高いと地上付近には相対的に暖かな空気が流れ込むため、雪にはなりにくくなるのですが、その反面、地上と上空の温度差が大きくなるため、活発な積乱雲も発生しやすくなります。

日本付近の海面水温
日本付近の海面水温
日本付近の海面水温(平年差)
日本付近の海面水温(平年差)

現在、日本海北部の海面水温は平年より2℃~3℃高く、15℃前後の高さとなっています。週明けは北海道を中心に、この海面水温付近と上空約5000メートルの温度差が50℃前後にも達する見込みで、活発な積乱雲の発生も予想されます。

降雪に加えて、積乱雲の下での落雷や突風(竜巻)などにも十分な注意が必要です。

(上図は気象庁発表資料に加工了承済み)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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