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利根川水系10%の取水制限へ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

貯水量は再び低下中

7月19日(金)に、第4回利根川水系渇水対策連絡協議会(臨時)が開催され、利根川水系のダムの貯水量が低下していることから、早ければ来週中にも10%の取水制限を実施することが決まりました。

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東京都水道局が発表している利根川水系の貯水率の変化をみると、6月後半~7月上旬にかけては、水源地でも毎日のようににわか雨や雷雨があり、トータル100~150ミリ程度の雨が降ったため、なんとか横ばい程度で推移していました。

しかし、7月6日の梅雨明け猛暑とともに再び低下の一途をたどり、7月19日の時点では2億トンを割り込む水準まで落ち込んでいます。

更に、きょう20日17時における最新の貯水量は1億9千万トンを下回ってきており、貯水率は約55%と更に急減している状態です。

利根川水系では、おおむね2億トンを割る水準になると取水制限が行われることが多く、その後、最も暑い夏場を乗り切るか、あるいは再び2億トン程度の水準を回復するまで取水制限が継続されることになります。

近年で最も深刻な渇水となった平成6年(1994年)には取水制限が30%まで強化され、東京都では15%の給水制限の措置もとられました。記憶に残っている方も多いと思いますが、この時は都心部での噴水が止まったり、プールが使用中止になったり、多方面に多大な影響が出ました。今年の今のダムの状態は、この年の同時期と非常によく似た低水準となっています。

水不足解消には台風

では、水不足を解消するためにはどれ位の雨量が必要なのでしょうか?

夏特有の夕立のような不安定降水が毎日のように発生すれば、一気にとまではいかないまでも徐々に上向きに転じることがあります。しかし、過去の例から、完全に解消へと向かうためには、比較的、短い期間に100~200ミリ程度の大雨がまんべんなく降ることが必要な条件となるようです。

このような大雨をもたらすものは主には台風であり、多くの場合、貯水量を一気に5千万トン以上も回復される力を持っています。

去年(2012年)も夏場の少雨の影響で、利根川水系では9月11日から10%の取水制限が行われましたが、9月30日に上陸した台風17号の大雨により、取水制限は解除されました。

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更に過去を振り返ると、2001年(平成13年)の水不足の時には、8月22日に関東を通過した台風11号による大雨で渇水が解消しました。

1996年(平成8年)の水不足でも、9月22日に関東沿岸を通過した台風17号により渇水状態が解消され、この時は東京都心でも日雨量250ミリ以上の記録的な大雨となっています。

また、近年で最も深刻な水不足となった1994年(平成6年)の時は、9月に入ってからの雷雨などで徐々に持ち直し、最終的には9月29日に紀伊半島に上陸し、列島を北上した台風26号による大雨で、渇水状態が完全に解消されました。

このように過去の多くの水不足に終止符を打ってきたのが台風ということになりますが、この台風の予想ばかりはそう簡単にできるものではありません。

今後は多雨傾向に?

幸いなことに、現在、梅雨明け猛暑をもたらした太平洋高気圧は衰退中。このまましばらくは失速状態が続く見込みで、19日に気象庁から発表された最新の予報でも、当面、7月いっぱいは猛暑が戻る可能性は少なく、多雨傾向になるという予想も出されています。水不足という観点からは肯定的な予報とも言えるでしょう。しかし、長期予報の精度はあまり高いものではありません。空から降る雨を期待しつつ、引き続き、十分な節水を心がけなければならないでしょう。

こちらに東京都水道局による節水術が掲載されています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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