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激戦の東京選挙区!若者・子育て世代が投票すべき候補者は誰だ?#こども応援団 #参院選2022

末冨芳日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員

激戦の東京選挙区、子ども・若者政策を充実させる#こども応援団 #若者応援団 候補者は誰でしょうか?

定数6に対し、34人もの方が立候補していますが、以下の要件を満たすことができる候補者は何人いるでしょうか?

・現職:政党にとらわれず子ども・若者に関する重要な法律・政策の成立や改善の際に中心的に活動してきた候補者

・新人:保育士・教員等の職歴や子育ての経験があるだけでなく、政治家としてのトレーニングを蓄積してきた実力ある新人

・リストは「若者や子育てママパパの応援が生きる」候補者を実績・実力を勘案して最小限に絞り込む

※注意事項:子ども・若者政策の最前線でアクティビストとして活動してきた私の分析・観察に基づくものであり、投票はみなさんの判断を大切になさってください。

1.#こども応援団 #若者応援団 候補は 6名!

最初に#こども応援団 #若者応援団 候補を申し上げます。

東京選挙区では、主要政党候補者4名に加え、「個性あふれる候補者」の多い無所属・地域政党のアイコンとしても注目される候補者2名が、子ども・若者政策を推進する実力・実績ある候補者として注目されます。

※五十音順

荒木ちはる(都民ファースト

所得制限撤廃の旗手!都民ファーストとして出産無償化(10万円給付)、所得制限のない医療費無償化(23区)、教育の無償化の所得制限緩和、都営地下鉄での子育て応援車両導入など、チルドレンファースト支援を実現。国民民主党との相互推薦で、都市部中間所得層のママ・パパからの「子育て罰」撤廃が期待される。

乙武ひろただ(無所属)

出産・医療・教育の無償化に加え、子ども1人最大年100万円のベーシックインカム導入、不登校の子ども若者に対し「義務教育課程でも公立でオンライン等を活用して教育を受けられる環境」を目指す、教員の働き方改革など、子ども若者に寄り添い、教員経験者としての視点も生きる政策を打ち出す。

与野党国会議員とのネットワークも豊富で、無所属であっても、子ども若者政策のために、成果を出す手腕が期待される。

さいき陽平(諸派・こどもの党)

その名もずばり「こどもの党」党首、「すべての子どもに1000万」という政策を掲げる。児童手当や教育・給食・保育の無償化の現金・現物給付の0-18歳での支給合計が1000万円となるというプランは意外に実現可能。

東京選挙区最年少30歳での立候補だが、若者の政治参加を推進してきた実績を持つ。全国高校生未来会議の主催を通じて、若い世代と与野党議員との意見交換を進めたり、18歳選挙権での国会参考人としての活躍などの実績ある候補。

竹谷とし子(公明

公明党の看板政策である出産・教育・医療の無償化はむろんのこと、子育て世帯給付金、生理の貧困、男性育休、子どもの貧困支援団体への補助拡充など、多くの政策を財源の裏打ちとともに実現。

こども基本法成立においても、早期から応援団であり、公明党での推進力となった。

国の財政の「6000億の無駄遣い削減」を実現する公認会計士出身議員としての実績だけでなく、「子ども・保護者と同じ視点」で考え、解決策を見いだすプロ中のプロと言える国会議員。子ども若者や支援者へのあたたかい言動と実績に大きく期待する関係者が多い。

山添拓(共産

初回当選時から「子育てにもっと予算を」を掲げ、全ての子ども・若者の給食の無償化、大学学費半額・入学金廃止について、鋭い国会質疑で参議院選挙直前の6月3日に岸田総理を追い詰める。

「教育予算こそ倍増を」という最近のツイートが注目されている。日本共産党は歳出改革により、優先政策とする給食の無償化、大学学費半額・入学金廃止を含む子ども・若者政策の精密なプランを提示しており、山添候補の自民党への鋭い切り込みにより、子ども予算・教育予算の倍増が加速することが大きく期待される日本共産党のエース。

蓮舫(立憲

「子ども対策」を公約の第一に掲げ、子ども若者の権利を基盤とした「全ての子ども・若者」への児童手当の増額と給付、教育の無償化、奨学金、ヤングケアラー支援等にも立憲民主党のコア議員として取り組む。

大物議員とされるが、子ども若者のための議連や院内集会等に参加し、精力的に情報収集や子ども若者の現状を把握し、強い気迫で子ども・若者政策の拡充と財源確保を実現しようとする。

3.あれ?あの候補者が入っていない

(1)自民党東京選挙区の候補者2名は、#こども応援団 ではなく他分野に重点

今回参議院選挙では、公明党・竹谷とし子候補を #こども応援団 としてリストアップしました。

竹谷候補は、他の公明党候補と同じく、子ども若者の実態をきめ細かく把握し、支援団体の要望にのも丁寧に耳を傾け、こども基本法も成立にむけ積極的に応援いただくなど、東京選挙区の候補の中では、突出した実績と子ども・若者のために迅速に動く行動力がある政治家です。

東京選挙区の #こども応援団 リストには 今回自民党候補は入っていません。

理由は、朝日健太郎候補、生稲晃子候補ともに、他分野の政策に重点を置いた活動をしているからです。

朝日健太郎候補は、国土交通政務官としての実績をPRされ防災対策等に力点を置いた発信をされています。またバレーボール選手としてスポーツ政策にも重点を置かれています。

生稲晃子候補は、ご自身の乳がんと仕事の両立を経て、ガン予防や女性の就労条件の改善、働き続けられる環境づくりなどに力点を置かれています。

重点分野は必ずしも子ども・若者にはありませんが、朝日健太郎候補はアスリートや部活でのハラスメント・人権侵害の撲滅や、部活地域移行を支える財源確保での活躍も期待されます。

また生稲晃子候補は、ご自身の子育てしながらの闘病や、働いてこられた経験をふまえ、ヤングケアラーや子育て中の女性に対する活動も活発化されることも期待されます。

(2)れいわ・山本太郎候補は、公約の実現可能性をどう判断するか?

れいわ・山本太郎候補の政党としての公約は重要です。

大学院まで教育費無償化、奨学金チャラ、児童手当月3万円、家賃補助など、実現されるべき子ども・若者政策ばかりです。

いっぽうで消費税等を廃止し、国債発行に依存するという公約の実現可能性については、子育て世代の間でも大きく議論が分かれると思われます。

(3)維新は海老沢ゆき候補を「公開セクハラ被害者」にしている

維新の参議院選挙公約については、私は以下のように評価しています。

所得制限のない出産・教育の無償化や、出産・学校外教育バウチャーなど、独自性があり政策効果も期待されるマニフェスト

いっぽうで東京選挙区で、若者・子育て世代が投票すべき候補かどうか考えたときに、猪瀬直樹候補、中条きよし候補からのボディタッチ(セクハラ)への対応が懸念材料です。

「まったく気にしてませんでした」とむしろ加害者擁護にまわっている点に、子ども・若者やワーキングマザーの権利・利益を守れる国会議員たりうるか、懸念を禁じえません。

子育てするワーキングマザーであることを強調されている海老沢候補ですが、同じ行為を職場でされればセクハラです。

働く女性の半数以上がセクハラ被害(客観指標)に遭っているというデータもある日本において、同じ党の男性候補者の「公開セクハラ被害者」となっている状況を痛々しい思いで見ている有権者も少なくないはずです。

維新が女性候補の人権・尊厳を守り、セクハラを禁止し、猪瀬候補・中条候補に党としての注意をするなど、毅然たる対応があってこそ、安心して投票できる有権者も増えるのではないでしょうか。

最後に:どう投票先を決めるか?

―当選可能性が高い候補に、という場合には政党で選ぶ

―東京選挙区の醍醐味は「個性あふれる候補者」への投票

自分自身の一票を、当選可能性が高い候補に、と考える場合には政党で選ぶことが基本となります。

政党の選び方は、6月27日の記事にも述べましたが、以下のような判断基準もあり得ます。

あなたは今の日本の政治で良いと思っていますか?

〇(良いと思っている)

不安や不満がないわけではないが、自分の一票が無駄になったり大きな変化が起きるのはこわい→安定志向→与党に投票

×(良いと思っていない)

不安や不満はちょっと(割と)ある、日本の政治は良くなってほしい→変革志向→主要野党に投票

いっぽうで、東京選挙区の醍醐味は「個性あふれる候補者」への投票、です。

今回は #こども応援団、#若者応援団、という観点から、国政で活躍が期待される候補者を選びましたが、他の争点からも、多様な候補者がいることは、日本の民主主義の多様性のあらわれとしても注目すべきことです。

東京選挙区の選挙公報もオンラインでも見ることができます。

多様な候補者のうち気になる候補者は、ホームページやSNSで直接公約を確認したり、経歴を見て信頼できそうか判断したり、可能な方はSNS等で直接質問や確認をしてみることが重要です。

意外に丁寧なレスポンスが戻ってくることも多いです。

推し候補を見つけて、自分の一票を投じれば、選挙も政治も、楽しむステップになります。

選挙のテクノロジーも発達したいま、死に票などありません。

落選候補への一票でも、子ども・若者にやさしい候補者への投票が増えることは、子どもにやさしくない政党・候補者の公約や言動を変えることにつながります。

さあ、投票に行ってみましょう!

日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員

末冨 芳(すえとみ かおり)、専門は教育行政学、教育財政学。子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店,編著)など。

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