菅総理・自民党がこども庁を衆院選公約に、という報道が流れました(NHKニュース)。

しかし菅総理は、私自身が子育て罰の厳罰化と指摘したように、高所得世帯の児童手当削減、出産無償化の見送りなど、子どもと親に厳しい姿勢をとってきました。

また低所得ふたり親世帯への給付金は決定されましたが、児童扶養手当の支給対象になっていません。

自民党で若手・中堅議員を中心にこども庁の検討がされ、党内での議論が進むことは、子どもを大切にしようとすることで、ほんとうにうれしく意義があることだと歓迎しています。

いっぽうで、財源論と子どもの権利とのセットの議論でなければ、子どもに厳しい菅総理のイメージを選挙の時だけごまかそうとする、ただの選挙戦略ではないかとの疑念がぬぐえません。

また国・地方ともに公務員数を削減しすぎ、先進国最弱の政府といっても良い日本で、官僚や児相職員、教員やスクールソーシャルワーカーなど、子どもに関わる公務員を増やさなければ、いまの福祉政策や教育政策がどんどん劣化していきます。

親の数や収入で子どもを差別し、大事にしない子育て罰国家・日本を、本気で改革し、子どもに優しい産み育てやすい国になる本気の公約であるかどうか、以下、自民党公約に盛り込まれるべき、カネ・ヒトそして子どもの権利の3点について簡潔に論じます。

1.カネ・子ども若者特定財源が必要

高所得世帯の児童手当を削っている場合ではない

ひとり親・ふたり親で子どもを差別しない低所得困窮子育て世帯への支援は急務!

妊婦検診含め出産無償化がなぜできないのか?

 少子化がものすごい勢いで進んでいます。

 2020年の出生数は過去最少の87万2,683人でした厚生労働省・人口動態統計)。

 少子化は、所得にかかわらず子どもを産み育てやすくすることでしか、改善されません。

 待機児童の解消のために、高所得層の児童手当を削っている場合ではなくむしろ児童手当をすべての所得階層に保障しながら、低所得層により手厚い現金給付をしていくことが基本になります。

 とくに、ひとり親・ふたり親で子どもを差別しない低所得困窮子育て世帯への支援は急務であることを、私も内閣府・子供の貧困対策に関する有識者会議構成員として主張してきました。

 また、出産前の妊婦検診含め、出産に関わる費用を無償化していかないと、そもそも生まれる子どもが増えません。

 逆に言えば、これらの政策がすべて実現していけば、出生率は改善していく可能性は高いでしょう。

 そのためには財源が必要です。

 消費税、子ども保険制度、資産課税など、さまざまな手段を用い安定財源を確保する議論なしに、子どもを大切にするこども庁構想は成り立たないはずです。

 自民党の選挙公約が本気の公約であるかは、財源論とセットになっているかどうかが最大のポイントです。

2.ヒト・こども庁担当官僚や児相職員が増やせるのか?

保育士・幼稚園教諭等の待遇改善も当然セットで

 中央政府・地方政府ともに先進国最小の公務員数しかいない日本で、公務員数を増やさず、こども庁をつくると、文科省・内閣府から人員が吸い上げられ、福祉政策や教育政策を支える官庁の体制が弱体化します。

 中央省庁の官僚は不足しており、民主主義国家の労働者とは思えない酷い労働時間のもと、命を削って働いておられます。

 法案の文言ミスの問題も、一太郎を使うかどうかの問題ではなく、確固たる国政を支える官僚集団の増強という必要な投資を行ってきた政治のツケなのだと私は考えています。

 地方においても児相職員は増員されましたが、コロナ禍の中で、それでも虐待対応に追いつかない実態があり、非常勤職であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの配置も学校のニーズに追いついていないのが現状です。

 国・地方ともに、官僚・公務員の増員がなければ、やはりこども庁は実効性ある政策にはなりません。

 またやはり劣悪な待遇で働いている保育士・幼稚園教諭等の待遇改善も当然セットにしなければ、子どもに対する質の高い教育・保育は保障できません。

 公約にヒトへの投資も必要であることを自民党と菅総理は明記する必要があります。

 

 逆にヒトへの投資なきこども庁構想は、既存政策すら劣化させていく危険な政策でもあることを指摘しておきたいと思います。

3.子どもの権利・子ども基本法制定が急がれる

子ども専用相談機関、わいせつ教員排除や日本版DBSなど、あらゆる分野で子どもを守る!

 子どもを大切にするためにはその基盤として、子どもの権利を位置付けた法令が必要になります。

 現在、与党でも議論がはじまったと報道されている子ども基本法の制定が急がれます(FNN記事)。

 財源・人員拡充とセットで、子ども基本法制定が公約化されるならば、自民党は本気だと判断できます。

 この際に、虐待や親との関係不和、ブラック校則やいじめ相談など、子どもの権利を守り保障するための子ども専用相談機関の設置(たとえば子どもコミッショナー制度)、わいせつ教員排除や、子どもにかかわるあらゆる職の大人に性犯罪履歴がないかを確認できる日本版DBSの導入など、こども庁が担う役割の明記も重要になります。

 当然ですが、これらの業務には専門性の高い人員が、何百人、場合によっては何千人も必要になるのです。

 カネとヒトの議論が避けて通れないのは、子どもを守る専門性をもった大人も、こども庁で多く雇用・育成していかなければならない可能性が高いからなのです。

おわりに

 ここまで述べてきた課題は、すでにこども庁構想を提案された議員のおひとりである山田太郎参議院議員(自由民主党)も、1万7,458名ものアンケートから把握されておられます。

 自民党の本気の公約になるのかどうか。

 山田議員はじめ若手中堅世代の議員の提言を、菅総理はじめ自民党幹部がどこまで採用できるのかがここからの見どころです。

 自民党内だけでなく与野党での、本気で子どもを大切にする議論の充実については、私も関係議員のみなさまとの対話を通じて、よりよい公約・政策づくりの構想や実態を発信していきたいと考えます。

 繰り返しますが、財源(カネ)・人員拡充(ヒト)と子どもの権利がセットで論じられてこそ、はじめて本気の自民党公約だと判断できるのです。

 菅総理は本気で子どもを大切にするのか、衆議院選挙にむけ読者のみなさんも注視してください!